上野千鶴子,小倉千加子『ザ・フェミニズム』
- 作者: 上野千鶴子,小倉千加子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2002/03
- メディア: 単行本
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今日から8月。未だ嘗て有意義な夏休みというものを送れた記憶がないので、今年こそはがんばりたいものである。
対談形式の本は気楽に読めるのだが、ちょっと効率が悪いと感じるときがしばしばある。本書は、話者の2人がかなりエンターテイメント性を指向しているので、基本的には面白かったのだけれども。
上野さんが男女雇用機会均等法は、フェミニズムにとって敗北であったという主張をしていたのは知っていたが、その理由をようやく把握した。
上野―いわゆる学校優等生的な個人主義的な競争原理を身につけて、そのままそれが企業社会で通ると思って、職場に参入していった女たちがいます。そういう考え方を強化する役割を均等法は果たしました。ところが、女の規範意識は変わったのに現実は変わっていない。現実を変える効果を均等法は持たなかった。
小倉―その「現実」と言っているのは何ですか? 彼女が努力しても報われてなかったということ? 会社の中でも、ポストの上でも。
上野―ふたつ意味があります。均等法は、その額面どおりに性別に関係しない企業の昇進や人員配置の原則を作る効果がなかった、ということがひとつです。もうひとつは、仮に男なみの働き方ができたとしても、それは基本的には「女性性を捨てて」という働き方になる。結婚もせず、出産もせず、ということが前提。
(p.172)
他にも、夫婦別姓に反対する議論など、なるほどと思わせられた。