太郎丸博編『フリーターとニートの社会学』

フリーターとニートの社会学 (SEKAISHISO SEMINAR)

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ここ10年でフリーターの数はかなり増加したとはいえ、日本全国からの2,000〜3,000の無作為抽出では、多変量解析に耐えうるほどの数が確保できない。

学歴や賃金などの属性要因ならば、就業構造基本調査や賃金構造基本統計調査を用いた分析が可能だが、意識やライフスタイルの分析はそれらの統計ではできない。

そうした状況を踏まえると、本書で行われている分析の中にはなかなか野心的なものもあると思うのだが、やはりネット調査であることと、フリーターが多めにサンプリングされているということから、留保をつけて読まなければいけない部分も多くある。

とはいえ、調査実習の延長で本を出せるというのはすごい。前に志水宏吉先生のゼミの報告書を見たことがるが、結構きちんとした装丁だった気がする。阪大ではゼミの成果をまとめるという取り組みが盛んなのだろうか。