「全面禁煙」、公共施設に要請 厚労省方針、罰則はなし

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20100218ATDG1804518022010.html

 他人が吸うたばこの受動喫煙による健康被害防止を徹底するため、厚生労働省は18日、全国の自治体に対し、利用者が多い公共施設を原則として全面禁煙とするよう求める通知を来週にも出す方針を固めた。喫煙できる場所を限定する「分煙」では、指定場所以外に煙が流れ出すことが多いため、同省はより実効性の高い対策が必要と判断した。ただ罰則はなく、具体的な対応は、施設管理者側に委ねられる面もある。

 通知は健康増進法に基づく措置で、全面禁煙の対象となるのは飲食店や病院、学校、ホテル、駅、劇場など多くの利用者が集まる施設。ただし、一部の飲食店など全面禁煙が極めて困難な施設は、将来的に全面禁煙にすることを前提に、当面は分煙も認める。

 受動喫煙防止を巡り、健康増進法は、多くの利用者がいる施設の管理者に防止策の努力義務を課している。同省は2003年の通知で、全面禁煙と分煙のどちらでもよいとしていたが、今回の通知で原則として全面禁煙に改める。


「喫煙できる場所を限定する『分煙』では、指定場所以外に煙が流れ出すことが多い」んだったら、全面禁煙ではなく、より分煙が徹底されるような仕組みをつくるべきなんじゃないの? しかも罰則はなしって…。一体何がしたいんだ。

一つ問題だと思うのは、公共施設というのが、「公共財としての性格を持つ施設」という意味と「単に人が多く集まる施設」という意味で区別されていないこと。前者に含まれる学校や駅を全面禁煙にするのはまだしも、後者に含まれる街中の飲食店まで全面禁煙とするのに正当な理由はあるのか。

もちろん、J.S.ミルの「他者危害の原則」を踏まえるならば、他人に危害を与える場合は個人の自由は制限されうる。しかし、自動車の排ガスが体に悪いのは明らかであっても、自動車を社会からなくせという主張が通らないように、受動喫煙の害があるからと言って、ありとあらゆる人が多く集まる施設で全面禁煙にすべきという主張は単純には通らない。

自分は喫煙者ではないし、タバコの煙もそれほど好きではないので、こうした措置が取られることで個人的には利益はある。
しかし、分煙で十分だと思うし、公権力が個人の行動に介入して禁止を命じるというのは正直に言って気持ち悪い。また、「禁煙ファシズム」の言葉もあるように、喫煙の問題に関して人々が何も考えない状況が拡がり、喫煙者の権利がどんどんないがしろにされていっているのには何とも言えない気分になる。