ジェームズ・C・アベグレン『日本の経営』

日本の経営 〔新訳版〕

日本の経営 〔新訳版〕

日本的経営の三種の神器とも呼ばれる、終身雇用・年功序列企業別組合を初めて指摘した本。

この功績は計り知れないものがあるのだが、この50年代の研究は日本人のパーソナリティや人間関係という文化的な側面に結局帰着させてしまっている。

その後の内部労働市場論などで明らかなように、長期雇用には合理性があるので、文化と考える必然性はない。

しかし、産業化から十分に経過してもなお国ごとの差異として現れるものは文化と呼ぶべきなのか、それとも経路依存性と呼んだ方が適切なのか。

またこの本の書かれた時点では、終身雇用・年功序列企業別組合がむしろ生産性を低める非効率なものとして描かれているというのは面白い(時期を考えれば不思議ではないが)。