尾高煌之助『労働市場分析―二重構造の日本的展開』

労働市場分析―二重構造の日本的展開

労働市場分析―二重構造の日本的展開

理論・歴史・計量、どれも目を見張るものがある。

賃金の二重構造が単一の要因からなるのではなく、歴史的な過程とともに変動してきたという話で、戦前の封建的な労働市場と、戦後発達してきた内部労働市場のどちらも射程に含まれている。

ただ、著者自身が述べているように、「二重」構造というよりは「傾斜」構造と呼ぶべき分析がなされている。「二重構造」と呼ぶには、石川経夫のように二つの異なる回帰式を設定した分析の方が適切と思われる。