大竹文雄『日本の不平等―格差社会の幻想と未来』

日本の不平等

日本の不平等

たいへんよく引用される本なので、メインの主張(80年代以降のジニ係数の増大は人口構成の変化によってほとんど説明される)はすでに知っていたが、他にも所得再分配への支持、IT機器の利用が賃金に与える影響、労働市場における世代効果、年功賃金への意識など多岐に渡っていた。対数分散の分解は、日本の社会学ではあまり見ないような気がするが、色々使い勝手のある方法だと思った。


官庁統計をもとにしている分析はよいのだが、独自の質問紙調査による分析はあんまりrobustとは思えない結果から提言をしていて、よいのかなあという感じ。