浦沢直樹『本格科学冒険漫画 20世紀少年』(1)-(22),『本格科学冒険漫画 21世紀少年』(上)、(下)

20世紀少年―本格科学冒険漫画 (1) (ビッグコミックス)

20世紀少年―本格科学冒険漫画 (1) (ビッグコミックス)

21世紀少年 下 (2) (ビッグコミックス)

21世紀少年 下 (2) (ビッグコミックス)

後半に行くにつれてつまらなくなる、という評判をよく聞いていたが、自分としてはそれなりに楽しめた。
1巻の初めの時点で、終盤の核心部分が描かれていて、非常によく練られて作られた漫画なのだと感心した。

そして時代設定が卓抜。「人類の調和と進歩」がテーマとして掲げられた大阪万博の頃が子ども時代として設定され、また(現実の日本ではオウム真理教の事件を経た)97年から2000年に"ともだち"のテロが起こされるというあたり。

「復活」した"ともだち"の正体が誰かというところに関心が行きがちで、最終話の終わらせ方が唐突に感じてしまうわけだけれども、そこをこの漫画の本質だとは見なしてはいけないのだと思う。あくまでこの漫画のポイントは、主人公たちが子どもの頃に作成した「よげんの書」と、その続きである「しんよげんの書」に書かれたことが現実のことになってゆき、それが明確に思いだされない昔のクラスメイトの誰かによって引き起こされているということなので、その正体が誰かというのはそれほど問題にはならないと考えるべきではないか。