『ブロンド少女は過激に美しく』

http://www.bowjapan.com/singularidades/


撮影中に100歳の誕生日を迎えたという、マノエル・デ・オリヴェイラ監督の作品。
原作はエサ・デ・ケイロスの"SINGULARIDADES DE UMA RAPARIGA LOURA"という1873年の短編とのこと。原題はポルトガル語で、「ブロンド少女の特異さ」というような意味らしい。「過激」とか、「美しく」とかは販促のためにつけたのか。


「妻にも親友にも話せないことは未知の人に話せ」という箴言が冒頭で引かれていて、どういうことかと思っていたら、確かに見知らぬ人にしか話せないような、衝撃的な話だった。

しかし、主人公の男とブロンドの少女が破局に至ったきっかけ以上に、それで男の感情があっという間に変化してしまったことに衝撃を受けた。あまりに唐突な展開に唖然とさせられている間に、すでにスタッフロールに入っていた。最初は一目ぼれだったが、破局も一瞬でした、というのが悲しい。

他にも、パソコンが普及している現代の時代設定である一方、19世紀風の上流サロンがあったり、結婚するために財産や親の許可が必要だったりという時代の違いを、どう解釈してよいか悩む。


説明が省略されている箇所が多いだけに、想像によって男の悲哀を補完させられた。
いかにも分かりやすく構成された映画よりは、こういう見た後に何とも複雑な気分になるものの方が面白い。