村尾祐美子『労働市場とジェンダ―雇用労働における男女不公平の解消に向けて』

労働市場とジェンダー―雇用労働における男女不公平の解消に向けて

労働市場とジェンダー―雇用労働における男女不公平の解消に向けて

先行研究のレビューが充実していた。もっと早く読んでいたら、労働市場社会学関連の文献を効率的に知れたのに。


理論編の質が高い分、計量分析の方の粗さが気になった。メインとなる独立変数の効果(性別、当該職業における女性職業比率)は部分的に出ているものの、他の変数の効果が理論から予想されるのとは異なるところが多く、頑健性に疑問が浮かんだ。また、「女性職業比率の高さが、男性の役職到達確率にプラスに影響している」という結果から、マーフィーによる収益権力関係が成り立っていると言ってよいのかも、少し説得力が弱いと感じた。