橋爪大三郎・大澤真幸『ふしぎなキリスト教』

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

三部構成のうち一部をユダヤ教に割いているのが、本書の特徴でありよいところだった。
不勉強な自分の頭ではかなり旧約聖書新約聖書の内容がごっちゃになっていたのだが、かなり整理された。


第一部の内容では、ユダヤ教におけるヤハウェの存在と民主制のつながりが面白かった。神の存在は、人々による民主的な統治とは反するもののように見えるが、実際には政治が神の意志に従っているかどうかを人々に絶えずチェックさせる働きをもたらし、ゆえに民主制とは親和的であるという話。

預言者サムエルは、王による統治は一人の人間が強い権力を持ち、神の意志に反しやすくなると警告した。しかし、人々は王政を求めてしまった。これはトーマス・ペインの『コモン・センス』でも問題にされていたことだ。