Allison and Long(1990)

Allison, Paul D. and J. Scott Long, 1990, "Departmental Effects on Scientific Productivity," American Sociological Review, 55(4): 469-78.

○威信の高い大学の研究者は(論文の数で測られる)研究の生産性が高い。しかし、もともと生産性の高い研究者が威信の高い大学に採用されているのか、それとも威信の高い大学に採用されていることによる、研究設備や周りの研究者とのコミュニケーションなどによって生産性が高くなっているのか、因果の向きを考えるという論文。


○化学・生物学・物理学・数学の研究者の179の移動をデータとして、移動前と移動後の論文の執筆数と引用数を比較している。


○大学の学部の威信スコアのようなものがあるらしい。


○上昇移動した研究者はより生産性が上がり、下降移動した研究者は生産性が下がっていることから、ある大学への採用→研究の生産性という仮説の方が妥当だという結論。


○negative binomialを用いた多変量の分析でも同様の結論が得られている。


○化学・生物学・物理学だけでなく、数学でも同様の関係が見られることから、研究設備だけではなく、周囲の研究者からの知的刺激の効果もあるという推論。