Wooldridge (2005) "Violating Ignorability of Treatment by Controlling for Too Many Factors."

Wooldridge, Jeffrey M. 2005. "Violating Ignorability of Treatment by Controlling for Too Many Factors." Econometric Theory 21:1026-8.

 "too many"とタイトルにありますが、議論されているのは処置変数に後続する変数(post-treatment variable)の統制の問題です。Rosenbaum(1984)と同様の関心に基づくものと言えるでしょう。ただし本論文では、処置変数に後続する変数の条件付き分布に絞って議論されています。処置変数に後続する変数の分布は、処置変数の値の水準によってしばしば異なります。よって、このような変数を統制すると、処置変数自体はランダム化されていたとしても、ignorabilityが成り立たなくなるということが簡潔に示されています。

 あえて、"too many"というタイトルをつけているのは、例えば傾向スコアを推定する際に、当てはまりのよさだけを追求することによって、しばしばこうした変数を含めてしまう誤謬を戒めるためのようです。