Lamont et al. (2014) What is Missing? Cultural Processes and Causal Pathways to Inequality

Lamont, Michèle, Stefan Beljean, and Matthew Clair. 2014. "What is Missing? Cultural Processes and Causal Pathways to Inequality." Socio-Economic Review 12: 573-608.

 

  • 社会学における不平等の次元を、(1)物質的不平等、(2)象徴的不平等、(3)位置に基づいた不平等(近隣効果・ネットワーク効果など)に分類
  • これら3つの不平等を生み出しうるメゾレベルの次元として、文化的プロセスを想定
  • 人々の認知によって、間主観的な不平等のカテゴリーが生み出されることの研究が不十分である
  • 間主観的に形成された意味によって、人々が社会を認識するためのカテゴリーと分類システムができるという考えは、DurkheimとMaussの研究にまで遡ることができる
  • 不平等を生み出しうる文化的プロセスとしては、人種化(racialization)、スティグマ化(stigmatization)、標準化(standardization)、評価(evaluation)が挙げられる
  • 人種化とスティグマ化の2つは特定化(identification)、標準化と評価の2つは合理化(rationalization)として括ることができる
  • 文化的プロセスは、「地位」や「属性」ではなく、目下の(ongoing)行為を強調する。そのため、'identity'のように物象化の暗示持つ概念ではなく、'identification'のように能動態の動詞を用いて本質化を避ける
  • 文化的プロセスは、支配的な行為者によってのみもたらされるものではない。人種的なマイノリティが人種カテゴリーを自ら用いるように、従属的な行為者も間主観的な意味の形成にしばしば関わっている。
  • 文化的プロセスは、不平等の帰結について決定論的な立場はとらない。それぞれの行為者は不平等を生み出すことを常に意識しているわけではないし、また標準化されたテストのように、不平等の縮減をもたらすプロセスもあるためである
  • 文化的プロセスは、個人の行為や認知を強調している点において、「社会的メカニズム」研究、分析的社会学とも関連性がある

 

 引用されている文献も面白そうなものが多くて、いくつかダウンロードしたのですが、文献リストの間違いが結構ありました。自分の書いた論文タイトルも間違っているのはどうなのでしょうかw

 カテゴリカルな不平等の生成ということに関して、Charles Tillyの研究はちゃんと読まないといけないですね。