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Homans (1964)


Homans, George C. 1964. "Bringing Men Back In." American Sociological Review 29:809-818.

 HomansのAmerican Sociological AssociationでのPresidential Addressが論文化されたものです。時代は1960年代で、Parsonsによる機能主義分析が流行していた時代ですが、その批判とそれに代わる理論の可能性についてが内容となっています。
 Homansははじめに、機能主義はデュルケームラドクリフ=ブラウンを祖として、学派を形成してきたといいます。そして、機能主義はそれまでの社会学で支配的であり、唯一学派を形成した思考法であるといいます。
 次に、機能主義の3つの特徴が挙げられます。第一に、機能主義はある集団に属する個人がどのように振る舞うべきかという、規範の研究に始まったということです。特に、その規範の集まりとしての、役割と制度が焦点でした。第二に、機能主義は役割の相互作用と、制度の相互作用に関心を持ってきたといいます。例えば、原初的社会における制度がどのように整合していたかということです。第三に、機能主義は、制度の原因ではなく、結果に焦点をあててきたといいます(特に社会システムを全体としてひとつと考えた時の)。結果とは、制度のもたらす諸機能のことです。
 さらに、機能主義においては、役割はデュルケームのいう社会的事実、すなわち外部から個人の意識に対して圧力をくわえるものとして捉えられてきたといいます。そして、機能主義者は社会学は心理学のような他の社会科学とは区別される独自の一般命題が立てられるべきだと考え、個人の意識よりも、社会や集団の特徴に関する命題が立てられてきたということです。
 Homansは、機能主義の失敗はその実証的な関心の内容ではなく、一般理論そのものにあるとしています。問題であるのは、役割は根本的な分析単位として適切かどうかや、制度とは実在するのかどうかではなく、機能主義の理論的プログラムが社会現象を本当に説明しているのかどうかだということです。
 Homansによると、理論とは共通した一般命題を共有しつつも異なる説明内容をもつ、演繹的な体系とのことです。演繹的というのは重要な要件であり、すなわち最低次の命題が、ある条件を与えられた際の一般命題から、論理的に導き出されなければならないものだといいます。機能主義はこの条件を満たしていないことから、理論をなそうとするその試みは成功していないと批判します。
 機能主義にとって代わる理論のとりかかりとして、分析の最小単位へと議論が移ります。機能主義による分析の最小単位は、規範の集まりとしての役割でしたが、Colemanの研究によりこれは批判されます。機能主義では個人は社会システムが与える規範に大きく支配されるという視点を持っており、ホッブズ的な問題、すなわち万人の万人に対する闘争状態がなぜ存在しないのかという問題をうまく伝えることが不可能であるという批判です。
 そもそもなぜ規範が存在するのかという問いに対して、Colemanは、それは合理的に個別利害を計算する個人が、自分と同様の他者を念頭に置いた際の行為を通してであると答えます。こうした仮定をもとに、Colemanはなぜ個人がある状況において、ある規範を受け入れるのかについての演繹的な説明に成功していると、Homansは言います。Homansは、社会現象について説明可能な理論を構築する努力をするならば、それは社会システムの均衡についての一般命題を立てるのではなく、個人の振る舞いについてのそれが立てられなければならないと締めくくります。