Fukushige et al.(2012)「修正Kakwani係数による健康の不平等の測定」
Fukushige, Mototsugu, Noriko Ishikawa, and Satoko Maekawa. 2012. "A Modified Kakwani Measure for Health Inequality." Health Economics Review 2(1): 1-7.
- Kakwaniによる税の累進度の測定指標に簡単な修正をし、医療サービスへのアクセスの不平等を評価するのに適したものにできることを提案する
- Kakwani係数が集中度係数からジニ係数の差をとるものであるのに対して、集中度係数(C)をジニ係数で割った比の形に修正する
- すなわち、MDK = C/G
- 集中度係数とジニ係数の測定には、所得の代わりに消費支出を用いる方法も考えられる(MDK_C)
- MDKの値によって医療サービスへのアクセスの不平等を次の5つに分類できる
- (1)MDK < 0 → 逆進的(degressive)
- (2)MDK = 0 → 定額負担(constant payment)
- (3)0 < MDK < 1 → アクセスしやすい状態(accessible)
- (4)MDK = 1 → 比例負担(proportional payment)
- (5)MDK > 1 → アクセスしづらい状態(less accessbile)
- それぞれの医療支出の加重和の形に分解もできる
- MDK = w_a*K_a + w_b*K_b + w_c*K_c
- MDKの値は、所得の平均値で評価した際の弾力性という解釈も有する
- 2000年から2010年の「家計調査」における医療費支出をデータとした分析
- データの制約上、2人以上の人員を含む世帯に限定
- 2000年時点では、MDKとMDK_Cの値はどちらも0に近く、定額負担に近い状態だったものの、10年の間にどちらも増加
- MDK_Cの増加はより急激であり、2010年時点ではほぼ1に近く、比例負担の状態になっている
- 元のKakwani係数とくらべて、定額負担の状態を捉えられるのが比の形式をとっているMDKの利点の1つである