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Welsh (1999) "Gender and Sexual Harassment"

論文

Welsh, Sandy. 1999. "Gender and Sexual Harassment." Annual Review of Sociology 25: 169-90.

 

 最近は、授業や大学組織に関する勉強が結構楽しいですね。今月末には、全学のハラスメント研修というものが初めて行われるらしく、申し込んでみました。「体験型ワーク」 なるものがプログラムに入っているのですが、何をするのでしょうかね。

 

 

  • 20年前には、セクシュアル・ハラスメントの研究は、それが研究価値のある社会問題であるかということや、その拡がりについての記述的な分析に焦点を当てていた。近年では、この現象の原因と結果についてのより洗練された実証的・理論的分析が行われるようになっている。

 

セクシュアル・ハラスメントとは何か

  • 法的な観点から言えば、セクシュアル・ハラスメントとは2種類の行動から成り立つ、性差別の形態である。それらは、代償型(quid pro quo)ハラスメントと、環境型(hostile environment)ハラスメントである。代償型ハラスメントには、雇用やその意思決定に関わることを条件に行われる性的な脅し・賄賂が含まれる。環境型ハラスメントとは、個人が仕事を行うことへの阻害となったり、威嚇的・敵対的な就業環境を作ったりするような、性的な冗談、コメント、接触を指す。セクシュアル・ハラスメントはしばしば、女性がある職場において歓迎されていないことや、職場集団においてメンバーとして尊敬されていないことを知らしめるということが根幹にある。

 

セクシュアル・ハラスメントの拡がりと測定

セクシュアル・ハラスメントはどれだけ拡がっているのか
  • セクシュアル・ハラスメントの経験を回答する女性の比率には、相当なばらつきが存在する。サンプルによって、16%から90%の働く女性が、セクシュアル・ハラスメントを生涯において経験している。こうしたばらつきは、セクシュアル・ハラスメントの実証研究が直面する主要な問題の一つを浮き彫りにしている。というのも、これらの不一致は部分的には、調査の測定に関わる問題に起因しているためである。
 セクシュアル・ハラスメントの測定
  • セクシュアル・ハラスメントの研究において、問題であるとされている測定に関わる事項の中には、次のものがある。それらは、サンプルの違い、有効回答率、セクシュアル・ハラスメントの質問項目数、質問の文脈と想定する期間である。たとえば、ランダム・サンプリングに基づいた回答率の高い調査では、セクシュアル・ハラスメントの経験比率が低くなる傾向が見られる。くわえて、かつての調査においては、セクシュアル・ハラスメントをどのように定義するかについて、ほとんど一致した見解が存在しなかった。調査項目は非具体的であることが多く、たとえば、「性的関係についての圧力」や、「性的な発言やからかい」の経験について尋ねるというものだった。あまりに簡素な質問は、回答者によって異なる解釈がなされる可能性があるため、問題である。こうした測定の問題を受けて、2つの総合的かつ整合性の高い測定のスキームが現れた。
  • the Sexual Experiences Questionnaire(SEQ)は、セクシュアル・ハラスメントを3次元から構築されるものと考える。それらは、ジェンダー・ハラスメント、意に反した性的配慮、性的強制である。それぞれの次元は、複数の指標を用いる。ジェンダー・ハラスメントは、女性一般に関する性差別的・軽蔑的なコメントや冗談を指す。意に反した性的配慮は、頼んでいない性的な発言や質問、性的な接触から成り立つ。性的強制は、あらゆる形態の性的教唆である。全体として、SEQの作成者はセクシュアル・ハラスメントを、「職場において、対象者にとって攻撃的である、自らの資源を超えている、自らの福利が脅かされていると感じられるような、意に反した性的行動」から成り立つ「心理的な構築物」と定義する。
  • 回答の信頼性を増すために、SEQの調査項目は、具体的であり、「行動に基づいた」ものが含まれる。回答は3件または5件のLikert尺度で分類され、どれほどの頻度でハラスメントが起こったかを測る。ある研究においては、それぞれの信頼性について、ジェンダーはハラスメントは.82、意に反した性的配慮は.85、性的強制は.42であることが示されている。性的強制における低い値は、この種類のハラスメントの回答率が低いことを反映している。ほとんどの項目は、「私はセクシュアル・ハラスメントにあったことがある」という基準項目と高い相関を示している。こうした分析を通じてSEQの作成者たちは、信頼性と妥当性の基準を満たしていると考えている。
  • the Inventory of Sexual Harassment(ISH)は、以前に刊行されたセクシュアル・ハラスメントの研究や判例の内容分析を通じて作られた。ISHは3つのカテゴリーからなる。すなわち、言葉によるコメント、言葉による要求、言葉によらない表示である。ISHは、代償型と環境型のハラスメントの法的区別を一緒にしてしまっているという批判がなされるものの、ハラスメントがより深刻であるかどうかを捉えることを可能にしている。
  • 測定に関するさらなる研究が必要である。第一に、具体的な種類のハラスメントに関して、頻度、期間、直接性、攻撃性を測るような個別の指標、または下位尺度がさらに開拓されるべきである。第二に、ほとんどのハラスメント行動は独立して生じるわけではないため、累積的・多次元的な測定が発展させられるべきである。第三に、SEQとISHの作成者以外によって、これらの測定に関する信頼性と妥当性のテストが行われるべきである。そして次の節で述べるように、より広いハラスメント行動へ注意が向けられるべきである。過去20年にわたり、セクシュアル・ハラスメントに関する社会学の研究は、調査が構築される方法による制限を受けてきた。これにより、セクシュアル・ハラスメントは、男性が女性に対して行う、曖昧性のない個別の現象として、見なされることがほとんどであった。しかし、セクシュアル・ハラスメントを構成するものは、個人の知覚や組織の文脈に基づく、主観的なものでもありうる。

 

それはセクシュアル・ハラスメントなのか? 性的行動をラベリングする

  • 調査の対象者は、しばしば意に反した性的行動のターゲットになっていると回答するものの、多くはそれをセクシュアル・ハラスメントと定義しない。
  • 回答者がなぜ、ある種の意に反した性的行動をハラスメントであるとラベリングしたがらなかったり、そうすることに慎重であったりすることには、いくつかの説明が行われている。第一に、社会心理学者は、より伝統的な性役割態度を持っている男女は、ある行動をよりセクシュアル・ハラスメントであるとラベリングしにくいことを見出している。第二に、性的志向、人種、ハラスメントを行う人間の組織における位置などの個人属性の違いが、ハラスメントの経験のラベリングに影響する。第三に、性的行動の深刻さ、継続性、頻度が、ハラスメントであるというラベリングに影響する。
  • 近年の定性的研究では、組織文化によって、個人がある性的行動をセクシュアル・ハラスメントであるとラベリングすることへの意志や能力に影響することが強調されている。男性的な職場文化においては、女性は有能なチームプレイヤーであるとみなされるために、自らの経験をハラスメントであると定義しないことがありうる。
  • 回答者による自己ラベリングからは、ハラスメントが法システムに入りづらいことが示唆される。しかし、これらの経験が影響をもたらさないということではない。意に反した性的行動の対象となった人々は、その経験をセクシュアル・ハラスメントであるとラベリングするかどうかにかかわらず、よりネガティヴな心理的なアウトカムや、仕事上のアウトカムに至りやすい。調査の測定に関して言えば、「あなたはこれをセクシュアル・ハラスメントであると考えましたか」という質問は、自己ラベリングの影響を見ることに用いることができる。
  • しかし、労働者がある性的行動を仕事の一部であると同意しているような、制度化された形態のハラスメントは、調査項目では捉えられづらい。これを乗り越えるために、民族誌的な方法によって、曖昧な形態のセクシュアル・ハラスメントを明らかにし、客観的・主観的な測定の溝を埋めようという提案をしている研究者もいる。

 

セクシュアル・ハラスメントの理論と説明

  • セクシュアル・ハラスメントの研究に弱みがあるとすれば、なぜセクシュアル・ハラスメントが起きるかについての、体系的な理論的説明を欠いていることである。ほとんどの研究は、主に共変量を記述するモデルであり、なぜセクシュアル・ハラスメントが起こるかの説明をもたらしていない。こうした中でも有望なのは、「社会文化」モデルと、「組織」モデルに基づく説明である。

 

社会レベルの説明と社会文化モデル
  • 社会文化モデルは、セクシュアル・ハラスメントが、文化的に正当とみなされた権力と地位の男女間の差異から生み出されるものだと見なす。社会文化的な説明は、セクシュアル・ハラスメントの起源を家父長制社会にあると強調する「フェミニスト」、または「支配」モデルとも整合する。セクシュアル・ハラスメントは、ジェンダーの社会化プロセスに伴うものであり、男性が女性に対して職場と社会において権力と支配を行使するメカニズムであると見なされる。
  • 社会文化モデルはまた、年齢や婚姻状態などの個人レベルの要因が関連して、女性の低い地位や社会文化的権力の欠如を媒介していると主張する。たとえば、独身女性や若い女性は、より利用可能性が高いと見なされ、そのためよりセクシュアル・ハラスメントを経験しやすいかもしれない。年齢は「若さの影響そのもの」だけを捉えているのではなく、勤続年数の短さや仕事上の地位の低さの代理指標にもなっているとも主張される。
 
組織レベルの説明
  • 様々な説明において、組織の役割が強調されている。これらに通底するのは、組織における権力の差異がセクシュアル・ハラスメントを促進し、不平等を持続的なものにするということである。

 

公式・非公式の権力

  • 男性優位、女性優位の職場集団のように、職場環境において数的に歪んだ性比率は、セクシュアル・ハラスメントの説明において有望な役割を担っている。

 

性役割の波及

  • 性役割の波及理論は、セクシュアル・ハラスメントの主要理論の1つである。Gutekによれば、女性のジェンダー役割が、仕事上の役割に優先する際に、性役割の「波及」が生じる。これは、ジェンダー比率が男性、女性のどちらかに大きく歪んでいる場合にもっとも生じやすくなる。というのも、こうした状況は「女性であること」がより際立ち、見えやすくなるためである。全体として、性役割の波及理論は、数的に歪んだ職場環境における、ジェンダーに基づいた規範的な期待を強調する。
  • このアプローチに対する実証結果は一致していない。男性的な仕事における女性は、女性的な仕事あるいは男女統合された仕事における女性よりも、セクシュアル・ハラスメントを経験しやすい。しかし、これらの女性がよりその経験をハラスメントであるとラベリングしやすいとは限らない。性役割の波及に関する研究は、職業における性比率を、性役割の代理指標として用いていることにも限界がある。

 

接触仮説と数的支配

  • 接触仮説は、性役割期待を強調するのではなく、ハラスメントは特定の職場における男女の接触の関数であると見なす。ここでは、数的な支配は、規範的な支配と相互に関連しつつも、区別されるものとなる。職業における性比率ではなく、日常における女性の男性との接触に関する回答に基づいた際に、接触仮説は直接的に支持される。
  • Gruberの分析は、数的支配(職場におけるジェンダー比率)と規範的支配(職業における性比率)の相対的な効果を解きほぐそうとした、数少ない研究の1つである。男性との接触の量、すなわち職場におけるジェンダー比率は、ハラスメントの経験の生じやすさと、特定の種類のハラスメントの両方を理解する上で役立つことが見出されている。規範的支配の説明力は、数的支配よりも弱い。Gruberは、ジェンダー支配の測定において、職業における性比率のみに頼った研究は、おそらく性役割の効果を過大に推定し、ジェンダーの数的な文脈を過小に推定することになると結論づけている。

 

組織文化

  • 組織文化は、そのメンバーにおける適切な行動規範と価値を表している。よって、ある組織ではセクシュアル・ハラスメントが起き、別の組織ではなぜ起きないかに関して、研究者が文化に目を向けるようになったのは、不思議なことではない。
  • セクシュアル・ハラスメントに寛容な組織文化は、それが生じる頻度の多さと関連している。これに対して、セクシュアル・ハラスメントに対する積極的な政策や、研修や公的な苦情処理手続きを通じて職場文化を変えようとする試みは、環境型ハラスメントを減少させる上でとりわけ効果がある。

 

仕事の組織化

  • 仕事の性質のような技術的な組織化と、社会的な組織化との相互作用をを明らかにした研究は多くない。この分野においては心理学者の影響力が強く、個人とその相互作用への関心が優勢であることが、部分的な理由である。仕事の組織のされ方に目を向けると、肉体的に過酷であったり、反復的であったりする仕事のように疎外された労働条件は、男性的な仕事における女性のハラスメントの経験を部分的に説明するかもしれない。Cockburnは、「上司に対する戦いにおける、男性の士気と連帯は、時として女性を直接的に犠牲にすることで獲得される」と述べる。

 

ジェンダー化された組織とジェンダーの実践

  • セクシュアル・ハラスメントと、仕事の組織のされ方がどのように関連しているかを明らかにするために、研究者における近年の関心は、組織のジェンダー化されるプロセスと、「ジェンダーの実践」("doing gender")へと向かっている。驚くことではないが、セクシュアル・ハラスメントの社会構築的な性質を強調する研究は、定性的なものである。この研究は、性比率や組織文化という変数を超えてセクシュアル・ハラスメントを説明し、異性愛に関する組織の規範や、権力がジェンダーを構築し、セクシュアル・ハラスメントを促進することに注意を向けている。
 
個人レベルの説明
  • 社会文化的な特徴や個人の権力の源泉以外にも、加害者の特徴とセクシュアル・ハラスメントの関連は、心理学者によって研究されている。Pryorは、Likelihood-to-Sexually-Harass尺度を用いて、この尺度で高い得点を上げる男性は、男女の性的接触に寛容な状況において、よりハラスメントを行いやすいことを見出している。

 

セクシュアル・ハラスメントに対する反応

  • 研究から示されているのは、女性のセクシュアル・ハラスメントに対する反応は、回避、流布、交渉、対立のどこかに位置するというものである。ほとんどの女性は、自らの経験を報告しない。むしろ、ハラスメントを無視する、冗談や同調によってそらす、加害者を避けることがより多い。仕返しや仕事を失うことへの恐怖、さらに状況を悪化させることへの恐怖など様々な理由によって、女性はハラスメントを報告しない。Fitzgeraldらは、なぜ被害者が積極的に反応しないのかという問いよりも、女性が反応する様々な方法へと問いを移行し、認知的な戦略を取り入れるべきだと主張する。
  • 定性的な研究によれば、セクシュアル・ハラスメントへの反応は、職場における権力の組織のされ方に埋め込まれている。女性や臨時雇いの男性は、雇用における裁量が小さく、資源が少ないために、仕事を続けたいと思うならば、ハラスメントに耐えるか、無視するしかない。一方で、アフリカ系アメリカ女性の消防士は、自らの人種とジェンダーによって、すでに外部者であり周辺的な労働者であるとみなされるため、セクシュアル・ハラスメントに対して闘う上で失うものがないと信じているという研究もある。

 

セクシュアル・ハラスメントの結果

  • 仕事の結果に関しては、セクシュアル・ハラスメントは、士気の低下、常習的欠席、仕事における満足度の低下、機会平等の感覚の低下、職場における人間関係の悪化をもたらす。辞めることを余儀なくされる被害者もいる。生産性の低下、離職の増加、医療費の賠償という面で、組織も代償を払うことになる。さらにセクシュアル・ハラスメントは、不安、抑うつ、睡眠障害、吐き気、ストレス、頭痛とも関連していることが示される。
  • ハラスメントの結果に関する研究には課題がある。ほとんどの研究は、ありうる結果を挙げる傾向にあり、それがどれほど拡がっているのかや、内在する複雑なプロセスについては不十分である。Fitzgeraldらは、被害者におけるセクシュアル・ハラスメントの影響の大きさを測る上で、被害の履歴、個人レベルの資源、態度といった、被害者の脆弱性に関する測定を含めることを推奨している。
  • 心理学者は、セクシュアル・ハラスメントの心理的な結果に関するほとんどの研究において、責任を負っている。社会学者はセクシュアル・ハラスメントが女性に与える、ライフコースコース上の影響を問うべきである。すなわち、セクシュアル・ハラスメントは被害者の人生において転機となり、ライフコースにおける前進を変容させ、仕事・家族における機会の妨げとなることがある。

 

セクシュアル・ハラスメントを研究する:将来に向けた課題

長期の研究と多重(multiplicity)サンプリング
  • 多くの実証分析を制限しているのは、一時点の質問紙調査に頼っているということである。たとえば、組織文化の影響に関する現在の研究は、回答者がハラスメントを経験した後における、文化の感じ方を尋ねている。時系列データなしには、組織における寛容性とセクシュアル・ハラスメントが起こることの関連の意味するものは、不明瞭である。
  • 組織についての研究者は、多重サンプリング、あるいは「ボトムアップ」サンプリングの技術に目を向け、ミクロ・マクロレベルを関連させたサンプルを用いている。個人、監督者、人事部長への面接と組み合わせることで、多重サンプリングは、セクシュアル・ハラスメントと組織の政策、文脈、仕事上の結果の関係についてのデータをもたらすことが可能になる。
ジェンダー化されたプロセスを明らかにする:定性的研究の必要性
  • 質問紙調査への依存に抗して、定性的な方法による研究の必要性を唱える研究者が増加している。この理由の一部として、重要な概念とプロセスが、質問紙調査の項目では十分に捉えられていないという信念がある。たとえば、組織形態の構造が、それ自体としてジェンダーによって構造化されているということは、多く指摘されている。くわえて、定性的な研究は、組織におけるセクシュアリティとセクシュアル・ハラスメントを取り巻く曖昧さを明らかにすることも可能である。
人種とセクシュアル・ハラスメント
  • 人種・エスニシティに関わるセクシュアル・ハラスメントの研究は、十分でないと指摘されている。ほとんどの研究は概念的なものであり、性差別と「性的人種差別」の区別を強調したり、性的魅力に関する人種的な規範がいかにして、有色女性の仕事の機会を制限しているかを強調したりするものである。Rospendaらは、権力が逆転する状況のハラスメントに関して、人種がいかにして階級・ジェンダーと交差するかを分析している。たとえば、この研究では黒人における男性らしさの規範によって、黒人の男性教員が、白人の男性事務員からのハラスメントを報告することに躊躇する要因となりうることが理論化されている。
男性へのセクシュアル・ハラスメントと同性愛者へのハラスメント
  • 男性に対するセクシュアル・ハラスメントと、同性愛者のハラスメントは、十分に研究されていない現象である。Gutekの研究によれば、男性は「社会的な性的」行動を、女性にくらべて脅威とは解釈しにくい傾向がある。一方で、男性は女性が感じないある種の行動をハラスメントであると感じる。これらの行動には、男性をステレオタイプ化するような、女性からの発言が含まれる。男性においてはまた、男性の仲間どうしにおいて、女性に対する冗談に加わらない場合に、男らしくないとラベリングされることが報告されている。
  • 男性へのセクシュアル・ハラスメントと関連するのは、同性愛者へのハラスメントの問題である。ゲイやレズビアンへのハラスメントが考慮されるべきだけではなく、異性愛者の男性による異性愛者の男性へのハラスメントも研究されるべきである。すでに述べたように、セクシュアリティと「過度の男性らしさ」("hyper-masculinity")は、多くの組織文化における構成要素となっている。異性愛の規範は、女性を排除したり、性的な対象としたりするだけではなく、男性の行動も制約するのである。Williamが指摘するように、男性による女性へのハラスメントに焦点を当てることは、「職場における他の性別化された権力の力学」を無視することになる。

 

結論

  • このレビューの範囲を超えるものの、将来の研究において必要なのは、セクシュアル・ハラスメントの申し立てと、法的・制度的環境の関係である。セクシュアル・ハラスメントの結果に関する研究は、被害者、加害者、そしてセクシュアル・ハラスメントの特徴に焦点を当てており、法社会学の理論的洞察を活かしていない。Blackの研究は、セクシュアル・ハラスメントにおける第三者の介入に関して、組織の地位がどのように関わるかを概念化する道筋を示している。
  • くわえて、犯罪学の研究も十分に利用されていない。セクシュアル・ハラスメントの研究はまだ始まった段階であり、研究者は未だ測定、データ収集、理論的発展の問題と格闘している。