Rで行または列を定数倍する

 

> (a <- matrix(1:6 , nrow = 2, byrow = T))
     [,1] [,2] [,3]
[1,]    1    2    3
[2,]    4    5    6


# 1行目を2倍、2行目を3倍する
> diag(2:3) %*% a
     [,1] [,2] [,3]
[1,]    2    4    6
[2,]   12   15   18


# 1列目を2倍、2列目を3倍、3列目を4倍する
> a %*% diag(2:4)
     [,1] [,2] [,3]
[1,]    2    6   12
[2,]    8   15   24


# sweep関数を使った方法
> sweep(a, 1, 2:3, FUN = "*")
     [,1] [,2] [,3]
[1,]    2    4    6
[2,]   12   15   18

> sweep(a, 2, 2:4, FUN = "*")
     [,1] [,2] [,3]
[1,]    2    6   12
[2,]    8   15   24

 

盛山(2023)「データがつなぐ社会」

盛山和夫,2023,「データがつなぐ社会――転換期における社会調査教育は何をめざすか」『年報社会学論集』36: 27-34.

 

  • 社会調査士の資格制度が1995年に関西学院大学の個別カリキュラムから始まっていたということは初めて知りました。
  • 「検討を求められている諸事項」として、以下の5点が挙げられています。
    • (1)社会調査実習教育における二次分析の増加について
    • (2)Web調査に関わる事項を適切にカリキュラムに組み込むこと
    • (3)ビッグデータについて、分析スキルまでは必要なくとも学部教育で適切に教えること
    • (4)世論調査型の無作為標本抽出という前提からどのようにかつどの程度離脱することを考えるか
    • (5)高度化する統計的分析法をどのように社会調査教育に組み込むか
  • (4)について、そもそも「なぜ無作為抽出を前提に考えてきたか」を正しく捉え直す必要があり、学術研究の目的は必ずしも母数推定だけではないという点は非常に重要かと思いました。

国際卓越研究大学とかいうやつ

 

国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議(アドバイザリーボード)による審査の状況を公表します:文部科学省

 

 審査用の資料で、「日英公用語化100%」とか「大学院の英語による授業100%」とか、相当に野心的なことが書かれていますね。

 個人的に特に目を引かれたのは「アドミッション機構が全ての⼊学者選抜を統括」というところでしょうか。吉見先生の本にアメリカでは入試センターが学部入試を統括しているので、日本とくらべて教員の入試業務負担が小さいというようなことを書かれていたと思うのですが、そのような方向性を目指しているのでしょうか。結局は現行の制度の延長でなんだかんだ部局の教員が駆り出されそうな気もするのが不安なのですが。

 

 河北新報に載っていたコメント

 理系学部の教授は「人文系に限らず、理系でも大学の事業成長に直接つながらない学問領域は今まで以上に研究しにくくなる。外部資金の獲得自体が自己目的化し、基礎的分野を志望する若手研究者も減る」と不安視。制度の持続性を巡り、ある名誉教授は「大学ファンドが運用益を恒常的に出さなければ成立しない仕組み。運用が失敗したら予算はどう確保するのか」と疑問を投げかけた。

 

芦名定道ほか(2022)『学問と政治――学術会議任命拒否問題とは何か』

 

  • 報道になるような新しい話題がないので世間的には下火になった感がありますが、学術会議の会員に任命拒否された6人の研究者による論考がまとめられたものです。
  • メディアによる取材には任命拒否について「特に言うことはない」と述べていた宇野重規先生の執筆された章が読みたくて買ったのですが、結局全部読みました。
    • AとBという2人の人物(片方は明らかに宇野先生を表している)による対話形式で、静かに民主主義のあり方を問うというスタイルでした。
    • 内閣が任命しない理由を明確に示さない中で推測をするのは、「こんなことを言ったからいけないんだ」という「忖度」につながるのでむしろ有害であるという見解はなるほどと思いました。
  • 全章を通じて一番面白かったのは、加藤陽子先生の「現代日本と軍事研究」でしょうか。学術会議が過去に戦争・軍事を目的とする研究に反対する声明を出していたことは、任命拒否が起きた際にも報道されて賛否両論が見られたと記憶していますが、学術会議の内部における検討委員会でも論争があったということは初めて知りました。
    • 関連する論点として、そもそも学術会議は何を代表しているのかというものがあり、「科学者の社会における代表」ではなく、むしろ「社会における全科学者の責任を集約する1つの主体」ではないかという視点は、学問の自由と安全保障に関わる研究のあり方を考えていく上で、今後ますます重要になるように思われました。

ヴァージニア・ユーバンクス(2017=2021)『格差の自動化――デジタル化がどのように貧困者をプロファイルし、取締り、処罰するか』

 

 予測モデルが正確に機能するためには、多くの関連データを伴った明白な、曖昧さのない測定基準が必要である。しかし、そうなると、予測モデルは手に入る材料を利用するしかなくなる。「私たちは完璧な結果変数を持っていないわ」とエリン・ダルトンは言った。「被害を直接表す完璧なプロキシは存在しないと私たちは判断しているの」。

[p.187]

 

  • AIやビッグデータ技術が失業を増やすのか、格差を拡大させるのかといったテーマは多く見られるようになりましたが、本書は貧困者を選別して管理するという思想がどう展開してきたかを、19世紀の救貧院の歴史的流れに位置づけていることで、議論に非常に深みが増しています。
  • 救貧院は劣悪な環境であった一方で、人種の壁を超えた階級的な連帯を作り出したという部分は勉強になりました。他方でデジタル上の救貧院では、専門職を持つ中流階級貧困層に対して共感や連帯を形成しづらいことが主張されています。
  • 4章の内容は虐待被害を事例として、アルゴリズムによる福祉政策の対象者の予測の難しさを鮮明に明らかにしていると思いました。虐待による死亡事例は統計的に意味のあるモデルを構築するには数が少なく、ケースワーカが記録した事例の測定にかなりの曖昧さが含まれるということでした。
  • 本書ではそこまで関連させて論じられていなかったと思いますが、一見して普遍的かつ中立的に見える制度が、むしろ非効率的であったり、特定の人々を差別的に扱ったりするという意味では、官僚制の文脈でも重要と言えるでしょうか。自動化された技術によって、福祉プログラムを一方的に停止された人々の徒労感と無力感が描き出されている箇所は、官僚制の非人間的な側面の事例としても理解できそうです。

2022年4月

 

  • 今月は約151km走りました。日によってはもう少し走りたかったのですが、授業が始まると難しい面もありますね。無理はしすぎず継続していきたいところです。
  • 花粉症の症状は下旬になってようやく収まってきたのですが、ひどい日には100回くらいくしゃみをしていたせいか、胸のあたりが痛むようになりました。
  • 体重は日によっては57kg台を示すようになりました。

 

  • 最近は天候が不安定で、昨晩は雪が降っていました。仙台市内では観測史上5番目に遅い記録だそうです。
  • 4月の雪で思い出すのが、自分が小学1年生の時のことです。4月下旬にもかかわらず大雪が降り、しかもその日が八木山動物園への遠足の日でした。今だったら中止になるのかもしれませんが、ずぶ濡れで凍えながら動物園を回った記憶があります(ちなみに同じ日に2年生は、今はなき松島水族館の見学で羨ましかった)。

献血

  • ふと思いついて、久々に献血へ行ってみました。アエルの20階の献血センターです。
  • 履歴を見たら約2年半ぶりでした。前回は非常勤先の大学に来ていた献血カーを利用したと思います。
  • アエル献血センターには初めて行ったと思うのですが、広くてきれいでした。20階ということで、窓から見える景色もよい感じです。
  • 献血センターの中のWi-Fiにつなぐと、無料で電子書籍が読めるというサービスをやっているのを初めてみたのですが、なかなか画期的だと思いました。今日の待ち時間は家から持参した本を読んで時間を潰したので利用しませんでしたが。
  • ウェブでの予約や登録するとポイントを貯めることができるシステムも初めて知りました。予約をして来ている人がかなり多かった印象です。