Paul Gray et al. (2012) What They Didn't Teach You in Graduate School: 299 Helpful Hints for Success in Your Academic Career

 

What They Didn't Teach You in Graduate School: 299 Helpful Hints for Success in Your Academic Career

What They Didn't Teach You in Graduate School: 299 Helpful Hints for Success in Your Academic Career

 

  

 大学院生・ポスドク向けに、研究生活における実践的なヒントを299に分けて解説している本です。研究の進め方、仕事の探し方、テニュアの獲得の仕方にとどまらず、税金対策や健康の維持など、研究生活を取り巻く環境に対する知恵も豊富に取り扱われていました。

 基本的にはアメリカの大学が念頭に置かれていますが、普遍的に通用すると言えそうな内容の方が多かったでしょうか。アメリカの大学教授の方が組織に捕らわれず自由に振る舞っているイメージを勝手に思っていましたが、本書では、「学内政治にはできるだけ関わるな」、「内部告発にはリスクが伴うことを自覚するべき」といったアドバイスがされていました。

バランスボール

 

Gaiamキッズヨガマット

Gaiamキッズヨガマット

 

 

 しばらく運動不足を感じていたものの、外に走りに行くのは寒い日が続いていたので、部屋の中で使えるものを検討した結果、これに決めました。以前に購入した腹筋ローラーも悪くなかったのですが、1回1回の負荷がわりと大きいので、モチベーションの維持が難しい時期がありました。バランスボールはそれにくらべると、だらだらと使うことができ、かつ用途も多様なので今のところ気に入っています。ヨガマットの上に置いて使っています。

 

 そして最近は気候もよくなったのきたので、今日は久々に30分ほど外に走りに行きました。息が上がるより、足の裏が痛くなるのが先でした。今履いているスニーカーはかなり長く使っているので、靴裏がすり減っていることも一因でしょうか。

金曜の事件に対するハーバード大の学長声明

 

 先週の金曜日に、ハーバード大学の黒人学生がキャンパス近くで逮捕されたという事件がありました。学生は路上で裸になっていて、幻覚作用のあるドラッグを使用していたようです。警官に対して反抗的な態度をとったために、警官が学生の腹部を殴っている様子が映像に記録されています。黒人に対する警察官の強行的な手段の行使がしばしば問題となっているアメリカにおいて、本件も物議を醸しているようです。

 この事件に対して、ハーバード大学の学長が声明を出していました。

 

The events of Friday night are profoundly disturbing. A Harvard student was in obvious distress, and we need to understand how that came to be and whether we could have interceded earlier and more effectively. We have been witness to the use of force against a member of our community, which, regardless of circumstances, is upsetting and compels the search for a deeper understanding. The arrest occurred against the backdrop of increasingly urgent questions about race and policing in the United States, and about racial differentials in health care, raising for members of our community appropriate anxieties—about their own safety and place in our society, about that of their friends and colleagues, and about the world outside our gates.

 

 上記の箇所を読んでいて、正直に言って度肝を抜かれました。人種問題という日本とは簡単に比較できない背景が関わっています。しかし、こうした事件が日本の大学で起きたとしたら、「本学の名誉を傷つけるような事件を学生が起こしたことは極めて遺憾である。厳正な処分を検討する」といった声明が通常出されて終わりなのではないでしょうか。

 人種問題を始めとした様々な社会的分断が懸念されているアメリカではありますが、他方で一流大学のコミュニティとしての強さというものを感じさせられました。

Age distribution of new entrants into tertiary-type A programmes (OECD Education at a Glance 2011)

 

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   Typical students in higher education vary substantially by society. The above figure indicates an age distribution of new entrants into tertiary-type A programmes (roughly equivalent to universities) across selected OECD countries.

  Japan is the least heterogeneous country in terms of age: 80% of new entrants are below 19. This fact must be related to the practices of simultaneous recruting of new graduates and long-term employemt. Most people in Japan never go back to education once they enter the labor market. Sweden is an interesting contrast, where the 80th age percentile is 29.4. The country is known for its lifelong learning policies and universal access to higher education. Korea is similar to Japan with respect to the 20th and 50th percentiles, but shows a greater heterogeneity in the 80th percentile. The difference may partly come from the existence of military draft in Korea.

キケロー『友情について』

 

友情について (岩波文庫)

友情について (岩波文庫)

 

 

友情は数限りない大きな美点を持っているが、疑いもなく最大の美点は、良き希望で未来を照らし、魂が力を失い挫けることのないようにする、ということだ。それは、真の友人を見つめる者は、いわば自分の似姿を見つめることになるからだ。 

人は己れを恃むこと強ければ強いほど、そしてまた、誰の助けも必要とせず、己れのものは全て己れの中にあると考えるまでに、徳と知恵で厚く守られていればいるほど、友情を求め育むことにおいても卓絶するのである。 

財力・能力・資力で大抵のことができる者が、金で贖える他のものは馬にしろ、奴隷にしろ、豪華な衣裳にしろ、高価な食器にしろ、手に入れるのに、いわば人生における最高最美の家具である友人を手に入れないとは、これほど馬鹿げたことがあるだろうか。 

 

 ローマの政治家ガーイウス・ラエリウスによる対話篇という形の作品です。プラトンやアリストテレス哲学と同様に、徳による人間性の完成が強調されており、友情が存在するのも人々の持つ徳ゆえにであるとされています。人は欠乏や弱さのゆえに友情を求めるのではなく、むしろ自立した人々こそ強く友情を求めるのだという箇所は印象的でした。

 また、「いつか敵対しそうな人々とはそれを覚悟した上で友情を結ぶべき」か、あるいは、「いつか敵対しそうな人々は決して愛し始めないよう慎重であるべき」かという議論は、社会科学の信頼形成のモデルを想起させられました。

 

Garland (1991) "The Mid-Point on a Rating Scale: Is it Desirable?"

Garland, Ron. 1991. "The Mid-Point on a Rating Scale: Is it Desirable?" Marketing Bulletin 2: 66-70.

 

 Likert尺度による質問を行う場合に、中間の回答選択肢(「どちらともいえない」)が存在した方がよいのかどうかという問題設定の論文です。中間の選択肢が存在しない場合には、回答拒否を行わない限り、対象者は賛成・反対のどちらかに回答を強制されることになります。このことが回答の傾向に体系的な影響をもたらすかどうかという関心です。

 マーケティングの方法に関する同一の質問に対して、4件法・5件法の2つの選択肢を対象者にランダムに割り付け、結果を比較しています。結果として、中間の回答選択肢がある場合には、社会的に望ましい方向性への回答のバイアス(social desirability bias)がかかりやすいとされています。4件法の場合には、自らの態度の方向性を表明しなければならないのに対して、中間の選択肢がある場合に、社会的に望ましくない方向の意見を持つ人々は、「どちらともいえない」を選択できるために、4件法の場合よりも5件法ではネガティヴな回答が過小になるという解釈です。このバイアスを防ぐためには、中間の選択肢を除外した方がよいと著者は主張しています。

 ただ、「どちらともいえない」が実質的な意味をもつこともありうるので、どちらを選ぶかはケースバイケースかなとも思います。

 

久賀谷亮『世界のエリートがやっている最高の休息法――『脳科学×瞑想』で集中力が高まる』

 

世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる

世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる

 

 

 脳科学的な見地からマインドフルネスについて解説されている本です。小説の登場人物に学術的な知見や実践的なアドバイスを語らせるという珍しいスタイルをとっています。「疲れているのは『身体』ではなく『脳』である」という問題設定の下に、認知療法や瞑想を組み合わせたマインドフルネスがなぜ有効なのかというのが主な内容になっています。

 ここ数年、慢性的な首や肩の痛みに悩まされており、運動や整体でも解消されないので、自律神経的な要因から来ているのは何となくわかっていたのですが、その処置のヒントになるようなことがいろいろと得られました。ふだんの呼吸を意識するようにするだけで、だいぶ疲労感が違います。