『破片のきらめき』

UPLINKにて。

http://www.uplink.co.jp/x/log/002830.php

ある精神病院の中にある造形教室を撮ったドキュメンタリー。

精神病院という言葉から浮かびがちな印象とは裏腹に、なごやかな雰囲気のアトリエの様子が映し出される。

あまりに淡々とした映像が続くので少し退屈ではあったが、精神病院の中というのは見る機会があまりないので、勉強になった。


この作品で観る人に問いかけられているのは、正常/異常というコードの恣意性をは自覚せよ、ということなのだと思う。
社会科学でいう、本質か構築かの議論を援用すれば、何かの欠陥を持っているから「精神障害者」なのではなく、何かの欠陥を持っているというラベルを貼られるために「精神障害者」となるということ。「健常者」の側がそうした区分を安易に適用してしまうことを戒めているわけだ。

上映終了後に、監督が来ていて観客に次のようなことを言っていた。
「私たちは精神障害とはこういうものだと決めつけていて、彼らの声を全然聞いていないのではないか。彼らは私たちを映す『鏡』のようなものだと思う。この映画を通して、むしろ私たちの方が『まとも』ではないのではないだろうか、ということを問いかけたかった。」


ちなみに、OurPlanet-TVというNPOのサイトにも、監督のインタビューが載っている。

http://www.ourplanet-tv.org/video/contact/2008/20081210_18.html