樋口美雄『雇用と失業の経済学』

雇用と失業の経済学

雇用と失業の経済学

第1章 だれがどうして失業者になったのか
第2章 企業の雇用調整は速まっているのか
第3章 日本の雇用はどこで創られ、どこで失われているか
第4章 家計は企業リストラにどう対応しようとしているのか
第5章 だれの転職コストが高く、だれの転職コストが低いのか
第6章 経済のグローバル化は雇用をどう変えるか
第7章 情報通信技術の発展は雇用をどう変えるか
第8章 少子高齢化の進展は労働市場をどう変えるか
第9章 いま雇用政策に何が求められているか

今週は4つの図書館で延滞をするという快挙を達成! 部局ごとに図書館の手続きが違って面倒くさいと感じることがしばしばあるわけだが、一元化されていないゆえに一つの図書館で延滞していても他で借りられるというメリットもあることに気付く。
この本も一週間近く延滞しているので、さすがにまずいと思って読み始めたものの、複雑な表が多すぎて疲れた。


第5章を読むのが主な目的で借りたのだが、面白かった。
賃金センサスで継続就業者と転職者の賃金を比較すると、転職者の賃金が低いという結果から、転職は経済合理的でないということが言われる。それに対し、著者は転職をするのはもともと前職の賃金が低い人が多い可能性を指摘し、家経研のパネル調査で分析を行う。そうすると、転職前から転職後には賃金が上がっていることが示され、転職全体としては経済合理的であるということが示される。個人の異質性を考慮した分析の醍醐味。