米共和党が下院の過半数を奪還 上院は民主党が維持

http://www.asahi.com/international/update/1103/TKY201011030300.html


前評判通り、下院は共和党が過半数を奪還。焦点の一つとなっていた上院は民主党がかろうじて過半数を維持した。
ただし、日本とは違ってアメリカは党議拘束が緩いので、過半数とはいえど安定が保証されるわけではない。

もちろん、現職大統領の政党が中間選挙で敗北することは通例のことなので、結果自体はそれほど驚くにはあたらない。
しかしなぜこのような結果に至ったかと言えば、景気が好転していないこと、にもかかわらず財政支出が拡大し、「大きな政府」へ向かっていることへの不満が指摘されている。


前者については、有効な政策が打ち出せなかったということもあるのだろうが、前政権からの財政赤字や失業を引き継いだことや、またBPの原油流出といった不可抗力的な面もあった。そして、後者が気になるところなのだが、オバマ政権がこれまで行ったこととして、GMの国有化と医療保険改革がある。


GMという巨大企業の破綻を防ぐための政府の介入も、国民全員が加入する(ことを目指した)医療保険の改革も、どちらも他の国の標準で考えれば、それほど不満が持たれるようなことではないと思われる(むしろ、これらはオバマ政権の「成果」であるとも言える)。
しかし、このアメリカという国の場合は反発が強く、Tea Partyの躍進に見られる草の根的保守の運動につながった。医療保険改革は、当初とても高かったオバマ大統領の支持率を大きく低下させ、「オバマ社会主義者だ」というような言説も見られた。


まだ景気の好転や失業率改善の兆しが見えないため、財政支出の拡大が必要になってくる可能性があり、また高齢化などに伴い、今後社会保障にかかる支出は大きくなってくることが予想されるわけだが、その度にこうした感情的な反発が出てくるというのは、アメリカにとって相当に危ないことなのではなかろうか。そこまでアメリカ人がこだわる「自由」や、「自助」という理念はいったい何なのか。