- 一度は聞いたことがある「悲鳴」がほとんどでしたが、教職員・学長に対する意見調査の結果を示しながら丹念に取材がなされていて、色々と考えが整理されました。今年あった東大の授業料値上げについての動きも、やはり法人化してからの一連の流れの中で捉えなければいけないことですね。
- 法人化前の時点では、当時の学長や役員の中では積極的に法人化を推進する姿勢があって、国から一方的に押し付けられたものだという理解は誤りだという記述は、あまりよく知らなかった点でした。
- しかし当初の目論見通りにはいかず、結果として運営費交付金の継続的な減額による研究力の低下などの悪影響が現在強く認識されているようです。また、学長と教職員の間に意見の隔たりが少なからずあることを示す一連の調査結果でした。
- ただし、法人化前は寄付金や改組などの制約が相当に強く、運営費交付金の問題とそこは分けて考えるべきだというのは、なるほどという感じです。法人化前は「大学の自治」が悪い方向で働くことも多かったという意見もたしかにその通りで、オープンキャンパスなど1つ取ってみても、大学がより社会に開かれてきた面はあるかと思います。
- また、国立大学協会の永田会長への取材が行われており、運営費交付金の減額よりもさらに悪い政策として、共通指標による傾斜配分枠が挙げられていました。この点は国際卓越研究大学制度による今後の変化を考える上でも重要な指摘であるように思われます。