森岡正博『草食系男子の恋愛学』

草食系男子の恋愛学

草食系男子の恋愛学

少し前に、「なぜ日本人男子は結婚しなくなったのか」というインターネット・ニュースを見ていて、この著者の本を読んでみたいと思っていた。

非正規雇用者比率が増加した」とか、「終身雇用制の崩壊によって、将来の賃金上昇が保障されなくなった」とかいう経済的な変数ではなく、文化的な変数によって、現代日本人の恋愛・結婚行動が解説されていることを期待したのだが。

実際の中身はハウツー本で、ちょっとがっかり。同じ著者の『感じない男』を買うべきだったかも。

まあ、(ほとんど読んだことはないが)巷に溢れる「モテ本」とは内容は明らかに違っていて、かなり考え抜かれて、調査もした上で書かれた本だとは思う。哲学の人らしく、論理は明快だし、ジェンダー・バイアスに陥らないように配慮もされている。

ただ結局のところ、本書がつまらなくなっているのは「男は〜」、「女は〜」という一般論が多すぎることにある。エピローグ部分のような「私は〜」という、著者の視点から書かれていた方が圧倒的に良かったと思う。実際、全体を通して、エピローグが一番面白かった。