3年

本当は昨日書きたかったのだが、駒場のバイトを始めて3年が経った。過去のシフト表を見ると、初出勤は2007年の2月5日だった。

節目の時期になって振り返ってみると、当時の自分はお金が欲しいというよりもとにかく経験を得たがっていたように思う。ヴェーバー流に言えば、「事実のかわりに世界観を、認識のかわりに体験を」欲していたというわけである。尊敬できる先輩がたくさん働いていたということが自分の欲求を満たすように思え、深く考えもせずに働き始めてしまった。

そのまま惰性もありつつ今日に至るわけであるが、基本的に当時の自分の判断は間違っていなかったのではないかと思う。自分の考え方が非常に大きく変わるようなやり取りも一度ならずさせてもらった。
また、3年も働いていると、それなりに役割を獲得してくるもので、(通常バイトではあり得ないくらいの)裁量と権限を今では得るようになった。しかし、最近は出勤すれば仕事に追われる日が多く、裁量と権限が拡大したにもかかわらず、逆説的に疎外(Entfremdung)が起きているのではないかと思うこともある。

本業が忙しくなってきて、それとの両立という葛藤による面が大きいのだが、最近はあくまで金稼ぎの手段として割り切っているところもある。けれども、今の自分が負っているところを改めて考えてみるに、それではどうもよくないのではないか。

これは幾人の方が言っておられることであるが、あれをごく普通の街中のバイトと同一視するのは適切ではない。
今後の自分がどうあれ、おそらく後1年で勤務を終えるわけであるが、その間に自分なりの形で恩返しができれば、という思いを持った。