マックス・ヴェーバー『社会学の根本概念』

社会学の根本概念 (岩波文庫)

社会学の根本概念 (岩波文庫)

ヴェーバーの死後に出版された『経済と社会』の巻頭論文を訳したもの。確か前に読んだのは、学部3年の夏頃だったと思う。もう2年前だ。


ヴェーバーによれば、社会学とは「社会的行為を解釈によって理解するという方法で社会的行為の過程および結果を因果的に説明しようとする科学」のこと。本書はその社会的行為に関する諸概念の定義を試みたものである。

本書で重きを置かれていることの一つは、社会的行為の種類である。社会的行為は、(1)目的合理的行為、(2)価値合理的行為、(3)感情的行為、(4)伝統的行為の4種類に区分される。この中でヴェーバーは特に目的合理的行為に注目する。なぜなら、近代社会が目的合理性に特徴づけられているからである。

また、ヴェーバーは社会的行為を考える上で、あくまで個人ないしは複数の人間を想定する。すなわち、社会や国家というものは分析の単位にはならない。いわゆる「方法論的個人主義」である。この点は、さんざん言われていることではあるが、個人の集合を超えた社会、社会的事実に注目するデュルケームとは対比するとその特徴がいっそう明らかになる。