近藤麻理恵(2019)『人生がときめく片付けの魔法 改訂版』

 

人生がときめく片づけの魔法 改訂版

人生がときめく片づけの魔法 改訂版

 

 

 2010年に出版された初版は読んでいなかったのですが、先月改訂版が出たということで、読んでみました。

 「片付けはマインドが9割」と、 片付けにおけるテクニックよりも、「エートス」と呼べるものの重要性が一貫して説かれています。もっとも中心的な主張は、「モノを触ったときにときめくかどうかが重要」という点でしょうか。もちろんテクニックの紹介もあるのですが、 「一気に片付けることで意識の変化を劇的に起こす」といったように、あくまで手段として扱われているにすぎません。

 「過去に対する執着や、将来に対する不安と向き合うことで、現在に集中してよりよく生きることができる」という主張は、禅の思想につながる部分もあるなと思いました。また、断捨離と似ている姿勢・実践もあるものの、「片付けで選ぶべきなのは、何を捨てるかではなく、何を残すか」というあたりが違うと言えるのかもしれません。

 モノに対して人格を付与している点も特徴的ですね。「洋服に感謝することで、洋服が喜ぶ」のような表現は、読者によっては抵抗があるかもしれません。

 

 著者は2015年に、TIMEの「世界でもっとも影響力がある100人」に選ばれただけではなく、Netflixの番組を通じて海外でも人気が増しているようです。

 



 上述したモノを人格とみなして感謝を述べる実践は、英語圏の視聴者には特に奇異に見えるようで、それをネタにして番組のホストがいじる行為については、批判もあるようです。