小中学生対象の学校への携帯電話持ち込み禁止の話


少し前の話だが、大阪府の公立小中学校において、児童生徒の携帯電話の持ち込みを原則として禁止する方針が出された。

http://www.asahi.com/digital/mobile/OSK200812030066.html

保護者からの評判はよいらしい。下のサイトのように7割の支持を得られているという調査結果もある(これも今はやりのネット調査で、サンプリングなどが非常にあやしいのであるが)。

http://www.mobile-research.jp/investigation/research_date_081210.html


個人的には、行政が何でもかんでも規制するというのには違和感があるのだが(特にそれが「教育」という目的で正当化されてしまうのは)、必要ないものは学校に持ち込ませないという論理は、一応理解できる。

ただし、この方針はもともとの目的にかなっているのか疑問である。

上の朝日の記事によれば、こうした方針が出されたのは、「携帯メールや学校裏サイトへの書き込みによるいじめが絶えず、携帯の使用に伴う集中力の低下も目立つため」、「携帯電話への過度の依存は学習、健康の妨げになる」ためだと述べられている。

携帯メールや学校裏サイトへの書き込みによるいじめは、学校への持ち込みを禁止しても減らないと思うのだが。また、集中力の低下や学習、健康の妨げになっていることについても、授業中に使っているのならともかく、学校への持ち込み禁止でどうにかなるとは思えない。

もしかして、学校への持ち込みを禁止すれば、家庭での依存度も減ると考えているのだろうか。だとしたらあまりにも考え方が素朴すぎる。
でもって、「ルールを決めたら守らせるのは家庭、保護者の責任だ」とされたのでは、家庭の側もたまったものではないと思うのだが。どうしてこの方針は評判を得ているのかが分からない。

探し方が悪いのかもしれないが、ネットでもあまりまともな発言が見当たらない。せいぜい下のblogの記事くらいだ。

http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20081206/1228517384


新しいメディアが登場したときに、子どもと結びつけて危機が語られるのは昔からのことである。60年代には、テレビと学力低下の関連が論じられていたし、ファミコンが登場した頃には国会でその功罪が論議されたこともあった。
そうした過去の事例からも分かるように、頭ごなしに規制しても子どもは納得しないし、定着もしない。だからどうすればいいとはすぐには言えないのであるが、単に規制すればよいという方向が正しくないことはおそらく言える。