いわゆる大卒収益率アプローチは、高卒者と大卒者のある時点での賃金プロファイルに基づいて、収益率という指標を計算する。
そして、大卒の収益率は高く(6〜8%)、また大卒者はそれだけ高い所得税を払うことになるので、大学進学には正の外部性が存在する、というような議論を教育社会学はしてきた。
しかし、本当に知りたいのは、現在の高卒者と大卒者の平均的な所得の差ではなく、高卒であり、かつ大学進学をしたかったが経済的な理由によって進学できなかった人が大学に行った場合の所得への平均的な効果。また、その所得への平均的な効果が、政府が学生一人あたりにかけている助成金の額に比べてどの程度大きいのかというようなこと。
日本でこのようなことが検証できるデータが今後出てくるとよいのだけれども。