白波瀬佐和子『生き方の不平等ーお互いさまの社会に向けて』

生き方の不平等――お互いさまの社会に向けて (岩波新書)

生き方の不平等――お互いさまの社会に向けて (岩波新書)

論文から受けるのとはずいぶん印象が違う。こういう文体も書き分けられるとは。

学術的に目新しい知見はないと思われるものの、ミクロとマクロの連結を強調していること、ジェンダーとライフステージの持つ意味を踏み込んで解釈していることが特徴だった。根拠としている研究は堅い論文が多いが、一般へのメッセージ性は強いと思う。自分の研究関心にも影響を受けそう。

後は国際比較のデータが多いことか。いとも簡単にデータを出しているように見えるけれど、国ごとに社会保障制度は大きくことなるので、比較可能なかたちで示すのは実は大変なこと。