宇沢弘文『自動車の社会的費用』

自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47)

自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47)

コスト―ベネフィット分析的な視点に立たず、市民の基本的権利を守るという立場から、社会的費用を内部化させるという試み。
また、需要面でも供給面でも価格弾力性が低いようなサービスについては、社会的共通資本として管理することが所得分配の不平等をもたらさないことや、社会的共通資本はそもそも社会的費用が発生しないようなかたちで設計されなければならないことを主張している。

新古典派の経済理論が立っている前提にかなりの紙幅が割かれているところに、著者の強い問題意識が読み取れる。