求職側の経験談やアドバイスはインターネット上で多く見つかるのですが、採用側のプロセスやロジックについてある程度に情報をまとめてくれているものは相対的に少ないので、ありがたいです。あと、ネット上の情報だとどうしても極端なものであったり、あるいは自分が関心のあるものであったりを摂取しやすくなるので、書籍の形にまとまったものに触れるのも大事だと思いました。
- 私学は国公立に比べるとST比が悪いので、ポストを1年以上空けておく余裕のある大学は少なく、補充人事は早めに行われる傾向がある。
- 2011年4月1日の文科省の指導により、全国の大学・短大は経営情報や入試関連情報の公開が義務付けられたので、定員がどの程度満たされているのかなど調べやすくなった。
- JREC-INでは年齢による「足切り」は禁止されているが、公募の職階によって採用側の希望が推定できる。一般的に助教・専任講師ならば20代後半~30代前半、准教授だと30代前半~50歳くらい、教授だと30代半ば~60歳くらい。
- 国公立大学のほうが、私学によりも年齢による職階にシビアである。なぜなら、学部・学科・研究室などの単位で、各職階ごとの定員が決まっているため。
- JREC-INの2008~2010年度のデータでは、8月の公募数がもっとも多い。
- 公募が出たら、採用人事委員会に誰が入りそうかを、応募前に調べておくとよい。
他にも様々な世代・分野における就職の成功談・失敗談が網羅されており、単純に読み物としても面白かったです。自分が受け取ったメッセージとしては、就職先としての大学教員はギャンブル的な要素が高まっており、コネなどを含めた運の要素も大いにあるものの、地道に努力をしていれば長い目で見た際には報われる可能性は高い、というところでしょうか。