Schunck (2016)「マルチレベルモデルにおけるクラスターの大きさと集計されたレベル2の変数」

Schunck, Reinhard. 2016. "Cluster Size and Aggregated Level 2 Variables in Multilevel Models: A Cautionary Note." Methods, Data, Analyses 10(1): 97-108.

  • マルチレベルモデルにおいて、それぞれのクラスターのサンプルサイズが大きくない(レベル1のsparseness)という問題。
  • 既存研究は、レベル1のsparsenessはパラメータの推定値に大きなバイアスをもたらさず、むしろクラスターの数(レベル2のサンプルサイズ)が重要であると指摘してきた。しかし、既存研究はレベル2の変数がレベル1の変数を集計して作成されている場合に、レベル1のサンプルサイズがどのように影響するかを十分に検討してこなかった。
  • シミュレーションの結果、レベル1がsparseである場合に、レベル1の平均値として作成したレベル2の変数には、大きな下方バイアスがかかることがわかった。このバイアスはレベル2のサンプルサイズが大きくなってもそれほど改善しない。
  • 集計された変数の信頼性はクラスターの大きさに依存する。レベル1がsparseである場合に、レベル1の変数を集計して作られたレベル2の変数には大きな測定誤差が伴う。線形回帰分析において、独立変数の誤差が係数の減衰(attenuation)バイアスをもたらすのはよく知られた事実である。