民主党マニフェストの「学校理事会制度」

民主党の教育関係のマニフェストは、公立高校の授業料無償化ばかりが取り上げられている感があるが、何気にすごいのは「学校理事会制度」なのではないかと思う。


http://www.dpj.or.jp/kyouiku/005.html

 地方公共団体が設置する学校は、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画する学校理事会を設置し、主体的・自律的運営を行うものとする。

 十八条の4項では公立学校においては「保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画する学校理事会を設置し」とし、それらの人たちが今までの単なる協力者の立場ではなくて、もう一歩進んでまさに責任ある担い手の一人である、ということを制度上も明確にしました。そして学校理事会は、すべての担い手からの創意工夫にあふれた提案を汲み上げ、多くの人々の貢献を引き出します。主体的・自律的運営が行われる学びのコミュニティがそれぞれの学校を創りあげていくのです。

一見すると、学校評議員や学校運営協議会と似たようなものにも思えるが、これらはあくまで設置者である地方公共団体教育委員会が置くかどうかを判断する。しかし、この学校理事会はすべての公立学校に置かれるものだということである。
さらに、学校評議員や学校運営協議会が持つ権限は、学校運営の方針や教職員の任用について「意見を述べること」であるのに対して、学校理事会は「今までの単なる協力者の立場ではなくて、もう一歩進んでまさに責任ある担い手の一人である」と、より強い権限を持つものであることになる。


http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/11.html

中学や高校などにおける教科書のデジタル化を進め、内容の充実を図ります。教科書採択にあたっては、保護者や教員の意見が確実に反映されるよう、現在の広域採択から市町村単位へ、さらには学校(学校理事会)単位へと採択の範囲を段階的に移行します。

この教科書についての提案は、現行の文部科学省による教科書検定制度を根本的に変えるものであり、実現すれば教育の地方分権を一気に進めることになるのではないかと考えられる。


ここまで大きな変革となると、学校理事会に参加できる人はどのように決まるのか、財政的な基盤はあるのか、教員たちに時間的な余裕はあるのかといったことが強く問われる必要がある。

特に誰が参加するのかということについては、教育社会学の分野では、裕福で教育意識の高い保護者ほど学校参加への度合が高いということがよく言われるので、特定の層に不利に働かないような制度でなければならないことは言うまでもない。