- 作者: 有田伸
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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選抜制度のあり方について特に知らないことが多くて勉強になった。
1969年の中学校無試験進学制と1974年の高校平準化政策によって、中等教育段階では選抜がなくなった。高校平準化政策は日本の学校群制度と似ているが、私立高校にも適用されるという点が違った。さらに、平準化政策に伴って課外授業が過熱してくると、1980年の軍事政権の時期には課外授業も全面的に禁止された(2000年代まで)。
こうして大学入試までは選抜がなくなった一方、大学入試においては「大学修学能力試験」という統一試験の成績でどの大学に入学できるかが決まるという、大学進学競争の国家管理化・一元化が進んだ。
こうした世界的にも稀なほどの、ラディカルな教育機会の形式的平等化の試みは、「まったく同質の教育機会を提供すること」が教育機会の平等であるという、特殊な平等感を根付かせたという。そして、同質の教育機会が提供されている以上、非経済的な教育条件の格差によって生じる学業成績の格差には批判の目が向けづられなくなり、教育機会は平等に分配されているという楽観的なイメージが生み出されたという。