森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

少し前に文庫で出たらしく、まだ平積みになっていた。

この著者は経歴が珍しく、京大大学院の農学系研究科を修了して作家デビューしたらしい。作品もほとんど京大生が主人公で、本作もそんな一つ。

京大の理系学部に通う男が、同じクラブの年下の女に恋をするが、男の方がダメな性格で、一方女の方はとても鈍感な性格ですれ違いが続いてゆく、というような話。

それぞれが交互に読者に語りかけてゆくというスタイルなのだが、時代は大正・昭和を感じさせるような雰囲気を醸し出しつつ、たまに「バブル後」とか「メール」という単語が出てくる。

文体は諧謔的で、たまに読むのはよいかなという感じ。しばらく間をおいて『太陽の塔』でも読んでみるか。