- 作者: 谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1992/10
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 494回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
いくつかの短編漫画を集めて一冊にしたもの。
メインの話である『犬を飼う』は、ある夫婦が飼っている老犬が、衰弱し亡くなるまでの最期の数ヶ月を描いている。
自分は犬を飼ったことはないのだが、本作で表象されている様々なことがらを前にして結構考えさせられた。
老齢になったときの世話の大変さ、安楽死をさせるかどうか、飼ったはよいものの様々な理由で保健所へ送ってしまう飼い主がいることなど、「犬を飼う」という言葉の中に見過ごされている現実が本作ではよく描かれていると思った。
老後や死の問題が見て見ぬふりをされているというのは、おそらく人間についても同じ。死を秘匿しようとする方向に向かうのが近代社会の特質だというようなことをフーコーが言っていたような気がするけれど、本作を読みながらその議論を思い出していた。