阿部彩『子どもの貧困――日本の不公平を考える』

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

ゼミ文献。先進国の中でも高いと言われる、日本における子どもの貧困の度合に着目した本。

ところどころ、提示されているデータが怪しいところはあるものの、親の所得だけではなく、学歴、文化資本生活保護の取得率など多面的に論じられている良書であるた。

貧困について文化的な面から論じると、精神論に回収されてしまうというリスクがあるのだけれども(貧困状態にある人たちはやる気がない!)、自分としては所得のみからではなく、多面的に論じるべきではないかと思う。もし、所得を十分に保障したとしてもなお、将来の教育達成・地位達成に明確な差が表れているわけだし、より具体的な例を出せば、もし大学の授業料が無償になったとしても、なお進学できない人々がいることが指摘されているわけだから。