http://web.iss.u-tokyo.ac.jp/future/activities/employsys/002010/

「ニッチ構築としての文化」
山岸俊男氏(北海道大学大学院文学研究科)

ヒトの活動そのものが適応すべき環境を生み出している(≡ニッチ構築)。文化心理学と進化心理学の中間のような話がされた。

文化心理学の実験で示されてきた知見、例えばアメリカではユニークな行動をとる人が多いのに対して、日本では他人の振る舞いを予想した上で行動をとる人が多いということについて。これが心の文化差を示すのだという文化心理学の主張に対して、異なっているのは人々が用いている「デフォルト戦略」(≡どのような意思決定ルールが存在するかが曖昧な際に、人々がデフォルトで用いる意思決定ルール)なのだということを示した実験結果が紹介されていた。

日本では、周りからの悪い評判を受けるというリスクを避けるというデフォルト戦略がとられるのに対して、アメリカでは利益を得るためには自らを主張することが大事だというデフォルト戦略がとられる。

意思決定ルールの曖昧さがなくなるように実験状況をつくってやれば、日米での振る舞いの差はなくなるという目から鱗の話だった。