Yamaguchi (2017) "Decomposition Analysis of Segregation"

Yamaguchi, Kazuo. 2017. "Decomposition Analysis of Segregation." Sociological Methodology 47(1): 246-73.

 

 DFL分解の新しい2つの拡張法が提案されています。

 前半の方法は、傾向スコアによる複数のウェイトを用いて異なる反実仮想状況と比較することによって、因果推論の文脈におけるATE,ATT,ATCに相当する推定量を計算できるというものです(ただし、因果効果としてみなすことについては本論文は抑制的)。以前に、Neumark(1998)という論文を読んだ時に、要因分解をする際の基準カテゴリーの取り方は恣意的な問題ではなく、分析上の関心と強く結びつきうることを学んだのを思い出しました。

 後半の方法は、アウトカムの分布が労働供給側の属性にのみ依存しているという仮定を緩和し、アウトカムの分布が需要側によって制約されていることを仮定するというものになっています。これがSUTVAの緩和に関する問題だという指摘には、なるほどと思いました。

 アウトカムの周辺分布を固定するためのウェイトを作るというのがアイディアになっていますが、具体的な計算方法は一読ではよくわかりませんでした。挙げられている関連文献から読まないとちゃんとは理解できなさそうな印象です。