根来秀行(2018)『ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の超呼吸法』
メモ
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巷に存在する呼吸法は、効果を実感できるものの科学的なエビデンスが少ないのが現状
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疲労とは、医学的には運動や労力などの「身体作業負荷」、あるいはデスクワークなどの「精神作業負荷」を、連続して与えたときにみられる「身体的あるいは精神的パフォーマンスの低下減少」と定義される
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端的に言えば、「脳疲労とは、脳にある自律神経の中枢を使いすぎたことで、その部分が酸化ストレスにさらされ、本来の働きが滞っている状態」
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疲労を蓄積させないためには、24時間単位の「サーカディアンリズム」だけでなく、20時間未満の「ウルトラディアンリズム」に即した生活を送る
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脳波は90分単位で推移しており、機能的に集中力を保てるのは90分程度
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90分単位で休憩を取り、副交感神経を高めて毛細血管を開く呼吸法を取り入れるのがおすすめ
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交感神経が高まったまま眠っても、睡眠本来の目的である修復・再生が進まない
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脳は臓器の中でも酸素不足に弱く、酸素が足りていないと集中力が落ちたり、眠気やだるさに悩まされたりすることになる
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呼吸には、息を吸って吐く肺呼吸(外呼吸)と、全身の細胞レベルで行われる細胞呼吸(内呼吸)の2段階がある
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腰痛や肩こりは、腰や肩まわりの筋肉細胞が酸素不足なって硬直し、不調があらわれた結果
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血中の二酸化炭素は多すぎると呼吸性アシドーシスを引き起こすが、少なすぎるとヘモグロビンが酸素切り離す割合が減少し、細胞呼吸の効率が低下する
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肺呼吸(外呼吸)で取り込む酸素が多ければ多いほど、細胞呼吸の量が増えると勘違いしがちであるが、実際はそうではない
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集中力の中でも特に短期集中に効果がある脳内ホルモンは「ノルアドレナリン」であるが、これは呼吸によってバランスを変えられる
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浅い呼吸を続けていると交感神経が優位となり、肩こりや便秘、手足のしびれ、胃腸炎などの不調が顕在化する
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自律神経はホルモンと並ぶ体の二大制御機構の1つであり、意思とは関係なく24時間働いている
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呼吸法こそが、無意識下で働く自律神経に意識的に介入できる唯一の方法
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呼吸によって自律神経を調整するためには、呼吸筋の中の横隔膜に刺激を与える必要がある
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横隔膜周辺には自律神経が集まっているため、腹式呼吸をすることで副交感神経が優位となる
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細胞呼吸で使われずにあまった酸素の一部は活性酸素となり、細胞を傷つける側となって働いてしまう
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体内の二酸化炭素濃度が下がっている場合には、適切に外呼吸数を減らす必要がある
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外呼吸数を減らすと取り込まれる酸素の量も減るものの、そもそも血中の酸素濃度は基本的に足りているため、日常生活に支障がでるような影響はない
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体の機能は加齢ととともに老化するが、自律神経も老化する
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しかも年齢の影響を大きく受けるのは副交感神経のみ
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副交感神経の機能が老化すると、交感神経が下がらず、眠たいのに眠れないということが起きる
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ノルアドレナリンは集中力をアップさせるホルモンであるが、過度に働くと緊張や不安が高まって脳がフリーズする
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呼吸法で推奨される呼吸回数や姿勢はあくまで目安であり、一番の目的は横隔膜を上下させて副交感神経スイッチを入れること
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検診では引っかからないものの、「なぜだか疲れがとれない」という不定愁訴がある場合は、毛細血管の機能が落ちているのがほとんど
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60代になると20代にくらべて毛細血管の数が4割減る
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血糖値が高いと毛細血管の内壁が傷つけられてしまうため、ゆっくり咀嚼して食べるのは生活習慣の中でも改善しやすくおすすめ
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体内のリズムを整えるためには、最低でもメラトニンが分泌されている午前9時までには起きて日光を浴びることが必要
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入眠後最初の90分間のノンレム睡眠は、睡眠全体の中でももっとも深い眠りである
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細胞の修復・再生に欠かせない成長ホルモンも最初の90分のノンレム睡眠中にピークとなる
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そのため、最初の睡眠でつまずくと、その後にどれだけ長く眠っても疲れがとれない
感想
- マインドフルネスや座禅の本を読んで、何となく体感としては正しいと思っていた断片的な実践の数々を、理論で補強してもらったという感じです
- 「横隔膜を上下させる」のが大事というアドバイスは個人的にわかりやすく、正しい腹式呼吸の感覚をようやくつかめたという気がしました
- ところで、こういう本も読みましたが、出版社は違ってもこの手のタイトルをつけなければいけないという暗黙のルールでもあるのでしょうか