高田明和(2014)『1日10分の坐禅入門――医者がすすめる禅のこころ』

 

 

 もう一つ感じたことがあります。結跏趺坐をすると、まるで宇宙に堂々と一人座るというような心境になるのです。自然と卑屈な気持ち、劣等の感じがなくなり、自分は堂々と生きているという自覚がみなぎってくるのです。これで私は姿勢が如何に重要かを知ったのです。

立っていると眠れないのは背骨、腰、足からの刺激が脳に伝えられ、覚醒させるからです。一方横になると眠れるのはこれらの筋肉、腱の緊張が緩み、刺激が脳に行かなくなるからです。結跏趺坐の場合には、足、腰の腱が引っ張られ、さらに背骨を正すことで背骨の周りの筋肉、腱が緊張し、その刺激が脳を覚醒させるのです。

 

  • 半跏趺坐にくらべて結跏趺坐で坐っていると、明らかに頭がよりクリアになると感じるのですが、足腰の腱の伸びによるものということで、なるほどなと思いました。
  • 「好事も無きに如かず」というのは、含蓄のある言葉ですね。よい物事はさらにそれを求める欲望をかきたてたり、あるいはそれを失う心配を引き起こしたりするから、むしろ無いほうが勝っているという意味ですね。心をなるべくニュートラルに保ち、執着を持たないようにすることを強調する、仏教のらしさが表れた言葉だと思います。