CiNiiで論文を探せ、と教えてはいけない。

ここ1週間くらい、学科のコンピュータ室に行くと、学部生がレポートを書いているのを見かける。その際、CiNiiで論文をキーワード検索している人が結構多くいて、一体誰がこういう役に立たないことを教えているのかと思う。

CiNiiとは国立情報学研究所の論文情報ナビゲータであり、キーワード検索をする機能がついている。

しかし、このキーワード検索が飽きれるほど使えない。少なくとも社会科学系に関しては、適当なキーワードを入力しても名前も聞いたことのない雑誌や、よくわからない大学の紀要が大量に出てくる。一応、「被引用件数降順」で表示するという機能があるものの、これも適切な重みづけがなされていないようで、使えそうな論文が上に出てきたためしがほとんどない。

CiNiiは、ある研究者の他の論文を検索したり、無料でpdfが公開されているジャーナル(例えば『教育社会学研究』)を見たりするのには役に立つが、キーワード検索には適していない。キーワードで探すなら、Google Scholarの方がはるかにましだ。

というかそもそも学部生のレポートで、インターネット上からキーワードで論文を探そうというのが最初にやるべきことではない。自分が調べたい分野のリーディングスに目を通し、そこから芋づる式で文献を探すか、あるいは図書館・大きめの書店の該当する棚に行って適当な本を探し、そこからまた芋づる式でいくつか探すといったことでだいたいは十分だと思う。

自分は学部3年次に文転したとき、こうした作法が全くと言ってよいほどわからず、ずいぶん苦しんだ記憶があるのだが、文系の人は1,2年次のゼミでしっかり教わっているのだと思っていた。しかし、他の人の話を聞いていると文系の1,2年次でこうしたことが教えられているわけではどうもないらしい。

ゆえに自分の学科のみの問題だけではなく、文科系のカリキュラムに共通して言えることなのだと思うが、どうしてこうした基本的なことがちゃんと教えられていないのか。知識や思想を教えるのに熱心な先生はいても、方法論というかもっと基本的なレポート作成に関する技術の教育にはあまりにも無頓着ではないかとしばしば感じる。


2015年5月21日:「やっぱり、CiNiiで論文を探せ、と教えてはいけない。」を書きました。