『花とアリス』、『四月物語』、『リリイ・シュシュのすべて』

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新文芸坐にて。岩井俊二作品をオールナイトでやっていたのを観てきた。家から一番近い映画館なのだが、行ったのは今回が初めて。


花とアリス』は、二人の女子高生と一人の男子校生の間の三角関係という、よくありそうなテーマを扱っているのだが、非常によい作品だった。
男の子の「記憶喪失」(という思い込まされている)が入ってくることでユニークな話になっている。また、主役を演じている鈴木杏蒼井優が自然に高校生を演じていて、好印象を受けた。


四月物語』は、松たか子が東京に上京してきた新大学生を演じる話。
主人公が東京の大学を志望した理由が、高校時代に憧れていた先輩に会うためというもの。しかし67分という短い映画であるため、二人が再会してほぼ話が終わってしまっているのが物足りなかった。もう少し長い映画で、その後の展開が続けられていたらと思う。


リリイ・シュシュのすべて』は、小説版からネット上のBBSでのやりとりを大幅に省いた内容となっていた。映画にするためにはそうするべきだとは思うが、やはり日常世界とオンライン上での人物の交錯が重要な話なので、だいぶ受ける印象が違った。優等生が不良になってしまい、いじめられていた主人公がその人に復讐するという単調な話になってしまっていたと思う。
また、小説版とでは自殺する人物が違うのだが、その自殺のシーンが唐突すぎてよくわからなかった。

よかった点としては、小説版と同様に、思春期の子どもたちの感情をグロテスクなまでに描けていることかな。あと、本作は市原隼人蒼井優の映画デビュー作らしいのだが、これには岩井俊二の慧眼を感じる。