韓国におけるメリトクラシー


昨日のゼミで聞いた話がちょっと面白いと思ったのでメモ。

韓国の大学入試制度の話。ソウル大学法学部の入学者は毎年の全国統一入学試験で首席から300位ぐらいまでの席次を取った者のみに占め続けられており、またソウル大学の最も合格ラインの低い学科と、2,3位の大学の最も合格ラインの高い学科の合格点はほぼ一致するという。
くわえて法曹の昇進過程において、ソウル大学出身者の有利さが際立って持続するという状況が見られるとのことだった。

これは、竹内洋の名著『日本のメリトクラシー』における知見と対比すると非常に面白い。
『日本のメリトクラシー』においては、日本における高校・大学入試は微細な偏差値の差異に基づいた序列構造をなしており、「もう少しがんばればより上の学校に行ける」というように生徒を加熱させる「傾斜式選抜システム」と、ある段階での達成がその後の有利さを必ずしも保障しない「御破算主義」という特徴が見出されていた。

これと比較すると、わずかな差異ではなく、ソウル大学が特権的な位置を占めており、かつその優位さが持続するという韓国の選抜の特徴が際立って見える。
しかし、それにもかかわらず日本よりも韓国において競争が熾烈であるように見えるのはなぜなのか。ソウル大学が庇護的(sponsored)な位置を占めているならば、日本よりもアスピレーションの加熱は抑えられてもよいように思える。


前々から読みたい本の一つであった『韓国の教育と社会階層』がより読みたくなった。