Breen, Ricahrd and Inkwan Chung. 2015. "Income Inequality and Education." Sociological Science 2: 454-77.
メモ
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社会学者の不平等への関心は伝統的に世代間の職業移動にあり、経済学者ほど収入の不平等に関心を払ってこなかった
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個人の収入にはvolatility, mobilityがあることを考慮する必要性→パネルデータを使用
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データ：NLSY79
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earningではなくincomeを使用
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25歳以上の人々の世帯収入に注目→早く学校を離れた人々による選択バイアスを避けるため
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収入の欠損値に対しては、隣接する両年の値が欠損していなければ、それらの平均を代入
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不平等を個人間・個人内に分解するため、変動係数の二乗値を2で割った値を使用
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単年の収入値のみを使用した場合の分散は恒常所得（permanent income）の分散を過大に推定する→パネルデータで個人内の不平等を計算することで、恒常所得のよりよい指標となる
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t年の収入5分位と(t+6)年の収入5分位をクロス集計し、収入の移動表を作成→個人の収入移動率は大きいものの、最上位と最下位における非移動率の高さが目立つ
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6年ごとに3期で分割すると、個人内の不平等はそれぞれの期で見た場合よりも分割しない場合のほうがより大きい→観察期間が長いほど個人内の収入変動はより大きくなる
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観察期間全体で見た場合に、個人内の不平等が全体に占める割合は約3分の1
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さらに学歴を考慮して3つのレベルに分解→（1）学歴グループ間の不平等、（2）学歴グループ内・個人間の不平等、（3）個人内の不平等
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学歴は4段階に区別、ただしより細かい6カテゴリーにしても結果はほぼ変わらない
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6段階の学歴×男女×人種3グループで36カテゴリーにした場合でも結果はほぼ変わらない
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学歴グループ間の不平等の全体への寄与は小さく、学歴グループ内・個人間の不平等の全体への寄与が大きい
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学歴グループ間の不平等の寄与がそれほど大きくないのは、それぞれのグループでかなりの程度の収入のoverlapがあるため
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学歴の分布を仮想的に変化させた場合のシミュレーションと、学歴間の収入格差を10, 25, 50%だけ縮小した場合のシミュレーション→政策的な示唆として、教育拡大によって縮小しうる収入の不平等の程度は大きくない
感想
- 最近、エントロピー系の指標に関心があるので、その一環で読みました。
- Theil indexではなく変動係数を使っているのは何か理由があるのかなと思ったのですが、この論文中では特に書かれていませんね。同じように収入の分解を行っている、Breen and Salazar（2010）では両者の検討を行っており、結果に大きな差はないと断られています。
- 細かい違いとしては、Shorrocks（1980）によると変動係数よりもTheil indexは収入分布の下位で起きる移転（transfer）により敏感であるようです。
