Giesselmann and Schmidt-Catran(2020)「固定効果回帰モデルにおける交互作用」

Giesselmann, Marco, and Alexander W. Schmidt-Catran. 2020. "Interactions in Fixed Effects Regression Models." Sociological Methods and Research: doi.org/10.1177/0049124120914934.

  • パネルデータにおいて2つの独立変数(x,z)のどちらも時間可変である場合に、それらの交互作用を含んだモデルに対して固定効果推定を行うと係数にはバイアスが生じる。
  • これは、xとzの交互作用に対して個人レベル平均(unit-specific mean)の差分をとってwithin推定を行おうとしても、betweenの情報も含まれるため。
  • そのため、もし交互作用に用いる独立変数xとzのどちらかが観察されず、かつ時間不変の変数と相関している場合に、その影響を排除できない。
  • このような場合に、xとzからそれぞれ個人レベル平均値を引いてそれらの交互作用を作り、さらにこの交互作用の平均値を引くことで(double demeaing)、厳密なwithin推定を行うことが可能になる。
  • ただし、この方法は通常の固定効果推定にくらべて交互作用に関してもwithinの情報しか用いないために、有効性(efficiency)の面では劣る。固定効果推定にくらべて標準誤差が2倍以上となるケースが多い。さらに、T<3である場合には推定ができない。
  • 固定効果推定か、double-demeaned推定のどちらを行うべきかは、一般的なバイアスと分散のトレードオフの問題と関連する。
  • データが不十分な場合、理論的に片方の独立変数が及ぼす調節効果(moderatign effect)がunit-specificであると仮定できる場合には、片方の独立変数については個人レベルの平均値をとって交互作用を作成し、固定効果推定を行うという方法もある。