郷田マモラ『モリのアサガオ――新人刑務官と或る死刑囚の物語』(1)-(7)
池袋のジュンク堂にて購入。新人の刑務官が、同僚や死刑囚との交流を通して、死刑という制度について葛藤してゆくことを描いた漫画。
タイトルにある「モリ」は、世間から隔離され、人知れず死刑囚が生活している拘置所の比喩であり、「アサガオ」は、昼になると萎れてしまうアサガオを死刑囚に例えたもの(死刑の執行は朝に行われる)。
冤罪、死刑囚の悔恨、死刑囚と被害者遺族との関係、死刑による犯罪の抑止力の問題など、およそ現行の死刑制度について論じられるべき、ありとあらゆるテーマが盛り込まれているのではないかという印象を受けた。
特に、重大な犯罪を犯した者は死を以て償うしかないのか、それとも長らく拘置所に閉じ込められていることによって既に死に値するほどの罰を受けているのではないかとか、あるいは犯罪者は死刑という制度が存在することによって寧ろ悔い改めることができるのではないか、などは非常に考えさせられる点だった。
近年、『接吻』や『休暇』など映画でも死刑を扱ったものが出てきていて、日本人の関心も結構高まっているテーマなのではないかと思う。裁判員制度の開始を前に、こうした作品がもっと出てくればよいと思う。