「なぜ君は総理大臣になれないのか」

 

 

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  • 自宅近くの映画館(徒歩圏内)で公開が本日までだったので観てきました。小川淳也議員に対して17年間という長期に渡った取材に基づくドキュメンタリーです。最近ほとんど職場以外には外出していなかったのですが、入り口での検温、アルコールでの手指の消毒、席間のスペース確保、館内の換気と映画館もいろいろと対策をとっているのだなあと思いました。
  • 政治家を被写体としたドキュメンタリーだと、想田和弘監督の「選挙」を以前に観ました。想田監督の「観察映画」手法に基づいた「選挙」はナレーションや字幕がほぼないのに対して、本作ではそれらの要素がしばしば入れられます。10年以上前の映像を用いている場面では、当時の時代背景について理解を補うためにこうした情報があった方がよいという判断もあったのかもれません。また、「この人を応援したいと思うようになった」、「議員には向いてないのではないかと思うようになった」などの監督自身の思想を明確に打ち出したナレーションがあったのも印象的です。
  • 「なぜ君は総理大臣になれないのか」というタイトルの問いに対しては、(1)地盤がないために選挙区での当選回数が少なく、比例復活によって当選した議員は党内での発言力が弱い、(2)党利党略によって党内での出世を狙う本人の関心・意欲が弱いということが挙げられていました。この問いをタイトルに据えるのであれば、所属政党の他議員を取材する場面であったり、小川議員が(党利党略ではなく)自身の社会構想について論じたりする場面があってもよさそうだと思いました。2時間の映像の半分近くが希望の党から出馬した際の衆院選に割かれていたのですが、やや冗長にも思われました。
  • 想田監督の「選挙」を観たときにも思いましたが、プライベートと公的な生活が交錯する場面は、ドキュメンタリーを観ていて面白く感じられる時間ですね。本作だと、小川議員の長女・次女が街宣に付きそったり、有権者に電話をかけたりするシーンには惹きつけられます。
  • 社会保障を手厚くしようと主張していても増税(特に消費税)は積極的に主張できない政治家が多い中で、不利益の再分配について口にできるのはやはり誠実な姿勢が現れていると思います。本作の中でも井手先生が応援演説をしていましたが、評価されるのもわかります。