『ダンケルク』

 

ダンケルク(字幕版)

ダンケルク(字幕版)

 

 

 昨年公開の映画です。機内サービスで観ました。

 第二次世界大戦中における連合軍のダンケルクからの撤退作戦を描いた作品です。戦争映画はこれまでそれほど意識して観てきたわけではないのですが、数え上げてみると、『プライベート・ライアン』、『フルメタル・ジャケット』、『硫黄島からの手紙』、『父親たちの星条旗』、『戦場のピアニスト』、『ハート・ロッカー』あたりが記憶に残っています。これらを戦争映画の範疇にすべて含めてよいかどうかはわかりませんが(『フルメタル・ジャケット』はどちらかといえば、前半の訓練施設がメインですし)。

 今回は戦争映画だからとか、設定に興味があったというよりは、クリストファー・ノーラン監督の映画というのが観た理由です(ちなみに監督自身の言葉によると、「戦争映画」ではなく、「生存映画(survival film)とのこと)。同監督の作品はSFのイメージが強かったものの、今回は史実に基づいた作品ということで気になっていました。

 登場人物が理不尽に死んでゆくのは戦争映画で頻繁に描かれることですが、本作は撤退作戦ということで、それがいっそう顕著に感じられます。さらに登場人物がこれまでどのように生きてきたかや、家族関係であるとかの背景情報はほとんど描かれておらず、あまり感情移入ができないように敢えてしているようです(これはたとえば実在の人物を主人公にし、家族との交流が出て来る『硫黄島からの手紙』とは対照的です)。そのことによってかえって戦争という事実が淡々と突きつけられるという効果が出ているのではないでしょうか。