ウィリアム・プーレン(2017=2018)『心を整えるランニング』

 

 

  • 昨日の地震はかなり揺れました。体感としては昨年2月の地震以上でした。
  • 地下鉄が動いていなかったので、今日の朝はレンタサイクルで出勤しました。自転車にはめっきり乗らなくなりましたが、高校時代は自転車通学だったので懐かしい気持ちになります。
  • 職場では前に地震対策をするように指導されていて、落下抑制テープというのを本棚に貼っているので、ほとんど被害はありませんでした。自宅では電気ケトルが落下して蓋が閉まらなくなってしまいましたが。

 

  • 最近は花粉症で毎日しんどいのですが、ランニングは毎朝続けています。本書は「マインドフル・ランニング」というものを提唱しており、読む前からだいたい中身は想像はついたのですが、モチベーションを高めるために買ってみました。
  • 原題は、Run for Your Lifeとのことで、訳題の方が内容をより直接表しているでしょうか。
  • 以前は音楽を聴きながらでないとランニングが辛かったのですが、最近はそうでもなくなってきました。本書の言葉を使えば、「『今、ここ』に意識を集中する」力が前よりもついたのかもしれません。ランニング中はハイになって何でもできそうな気分になることもある一方で、ひどくネガティヴな思考が浮かぶこともあるので、そういったことに向き合えるようになってきているとも言えるでしょうか。

Elbers(2021)「異なる時点や場所による分離の差を検討するための方法」

Elbers, Benjamin. 2021. "A Method for Studying Differences in Segregation Across Time and Space." Sociological Methods & Research.  doi: 0049124121986204.

 

  • 分離の強さの変化を周辺分布の変化によるものと、「純粋な分離」の変化によるものに区別できることが望ましい。
  • 分離指数が周辺分布に依存することは、1つの時点における分離の「平均的な」水準を特徴づけるためには望ましいが、異なる時点や場所による分離の水準を比較する上では問題となる。

 

  • 合計Uのorganizational unitsと、合計Gのgroup unitsがあるとき、U×Gのクロス表を考える。
  • UとGのどちらの周辺分布にも依存しないのは、A指数のみ。H指数が周辺分布と独立でないことは必ずしも十分に理解されていない。

 

  • 周辺分布とは独立した構造的な分離の原因を検討する方法として、主な解決策は3つある。
    • (1)Charles and GruskyによるA指数を用いるアプローチ。A指数はそれぞれの職業における男女のオッズ比を計算し、それぞれの職業を等価に重みづけて集計する。そのため、それぞれの職業の規模が大きく異なる場合は問題となりうる。また、同等の分離の水準を持つ2つの職業が統合された際には分離は変化すべきではないという、organizational equivalenceの基準をA指数は満たさない。
    • (2)Karmel and Maclachlan(1988)による本論文に類似したアプローチ。周辺分布の変化と構造的変化のそれぞれどちらかのみを反映した反実仮想的なクロス表を用いる。これはiterative proportional weightingによって作成できる。この方法の欠点として、行と列方向の交互作用が分解に含まれることと、新規に出現あるいは消滅する職業を考慮できない。
    • (3)Mora and Ruiz-Castillo(2009)によるアプローチ。2つの時点におけるM指数を分解する。ただし、この方法で定義される「構成不変」(composition-invariant)な変化とは、オッズ比に基づいて定義される構造的変化とは異なる。また、この方法では2つの分解法があり、それぞれで構造的変化の大きさが異なりうる。
  • 本論文では、(1)~(3)の方法を拡張・統合する。Charles and Gruskyはいかなる構造的変化もオッズ比に反映されるべきだとする重要な洞察をもたらした。Karmel and MaclachlanはIPFを用いて反実仮想的なクロス表に到達した。Mora and Ruiz-Castillo(2009)はエントロピーに基づいたM指数の強みを明らかにした。

 

  • 基本的なアイディアは、t1のクロス表を周辺分布のみt2と一致するように調整した反実仮想的なクロス表を作るというものである。
  • IPFによる周辺分布の調整は必ず収束する。
  • 反実仮想的なクロス表からM指数を分解したときに、1つのありうる批判はt1を基準とするかt2を基準とするかで結果が微妙に異なることである。これは分解の方法論の中では経路依存性の問題として知られる。この解決法としては、 Shorrocks (2013)によって提案されたShapley分解、すなわちありうるすべての分解のパターンを考慮するというものがある。2時点における分離の差の場合は、単に2つのシナリオの平均値をとるというものになる。

 

  • 2時点間での特定の職業の創造や消滅を考慮するためには、M指数がbetweenとwithinに分解できることを利用する。すなわち、「残存職業・消滅職業間の分離」と、「残存職業内の分離」および「消滅職業内の分離」の加重平均に分解して考える。

 

  • 分離指数に向けられる懸念の1つとして、比率の小さいセルに基づいて計算されることがある。Winship(1977)は非類似指数Dの期待値が大きくばらつくことを示した。これと同様の設定を置いたときに、M指数とH指数はばらつきが小さい。比率の小さいセルでは、ln(p_gu/p_g*p_u)の値は大きくなるものの、加重平均を取る際にp_guを乗じることでその影響が緩和されるためである。

伊藤亜聖(2020)『デジタル化する新興国――先進国を超えるか、監視社会の到来か』

 

  • 以前の職場でお世話になったことがある先生の著作です。中国経済がご専門の先生ですが、本書では中国を含む新興国に一般化可能なデジタル化の影響があるとみなし、「デジタル技術による社会変革は、新興国・途上国の可能性と脆弱性をそれぞれ増幅する」と主張されます。
  • 新興国論」という分野はあまり馴染みがなかったのですが、扱われている話題はどれもニュースでしばしば聞いたことがあり、イメージはしやすかったです。図表に何度か用いられていた、世界銀行の「世界開発指標」は面白そうなデータだと思いました。
  • 脆弱性」として取り上げられている権威主義国家におけるデジタル化の話は、目下のロシアによるウクライナ侵攻にも大きく関係してくる論点と言えそうです。

2022年2月

 

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  • しばらくサボっていましたが、2月は心を入れ替えて158km走りました。ワクチン接種翌日で副反応があった日以外は毎日走れました。大雪の日も幸いにしてあらず。
  • 朝走るべきか、夜走るべきか、今まで自分の中で結論が出ていなかったのですが、どうやら朝のほうがよさそうです。陽の光を浴びて走るほうが心身によい気がするので。シャワーの回数が増えるのは面倒ですが。
  • 2月の朝はかなり冷え込む日もありましたが、手袋さえしていれば、他は比較的薄着でも何とかなることがわかりました。寒いと言ってもボストン近郊にくらべれば、だいぶましな気温なので。

ブライン液

 

 

 今までも鶏肉を漬けるときに塩と砂糖は使っていたのですが、さらに水も入れるという方法があることを知り、試してみました。胸肉を一晩漬けた後に鶏ハムにしてみました。より柔らかく、パサつきを抑えて仕上がったように思います。

「ハウス・オブ・グッチ」

 

 

  • チネ・ラヴィータで観てきました。映画館で映画を観たのは、1年半前くらいに「なぜ君は総理大臣になれないのか」以来でした。
  • ファッションブランドとして有名なグッチの一族における権力争いを描いたもので、実話に基づいた映画です。『グラディエーター』などで知られるリドリー・スコットが監督で、レディー・ガガが主演です。同じく主演のアダム・ドライバースター・ウォーズで有名とのことですが、私は詳しくないので知りませんでした。
  • 上映時間が158分と短くはないのですが、描かれている情報の量が多く、ところどころ展開が急な印象を受けました。パトリツィアが野心を抱き、占い師にハマるようになったあたりのきっかけがもう少しあってもよかったのではないかと思います。
  • 午前中に3回目のワクチン接種をしたせいか、映画の後半はちょっと体がだるくて集中力が落ちていました。しかし史実がとにかく強烈なので、全体として退屈することはなかったです。特にファッションショーのシーンは、圧巻でした。
  • 80~90年代のイタリア・アメリカが舞台ということで、トスカーナ地方の牧歌的なシーンなどもよかったです。みんな人前で遠慮なくタバコを吸っているのは、隔世の感があります。日本のバブリーな雰囲気も現れていました。
  • 実際にはどうだったのかわかりませんが、マウリツィオが家族愛に揺れて躊躇するといった描き方ではく、非常にドライな対応を見せたところも印象的です。
  • エンドロールで、"covid facilitator"みたいなスタッフの表示があったのですが、大量の人が出てくるシーンもあるので、コロナ禍での撮影は大変だったようです。

Giesselmann and Schmidt-Catran(2020)「固定効果回帰モデルにおける交互作用」

Giesselmann, Marco, and Alexander W. Schmidt-Catran. 2020. "Interactions in Fixed Effects Regression Models." Sociological Methods and Research: doi.org/10.1177/0049124120914934.

  • パネルデータにおいて2つの独立変数(x,z)のどちらも時間可変である場合に、それらの交互作用を含んだモデルに対して固定効果推定を行うと係数にはバイアスが生じる。
  • これは、xとzの交互作用に対して個人レベル平均(unit-specific mean)の差分をとってwithin推定を行おうとしても、betweenの情報も含まれるため。
  • そのため、もし交互作用に用いる独立変数xとzのどちらかが観察されず、かつ時間不変の変数と相関している場合に、その影響を排除できない。
  • このような場合に、xとzからそれぞれ個人レベル平均値を引いてそれらの交互作用を作り、さらにこの交互作用の平均値を引くことで(double demeaing)、厳密なwithin推定を行うことが可能になる。
  • ただし、この方法は通常の固定効果推定にくらべて交互作用に関してもwithinの情報しか用いないために、有効性(efficiency)の面では劣る。固定効果推定にくらべて標準誤差が2倍以上となるケースが多い。さらに、T<3である場合には推定ができない。
  • 固定効果推定か、double-demeaned推定のどちらを行うべきかは、一般的なバイアスと分散のトレードオフの問題と関連する。
  • データが不十分な場合、理論的に片方の独立変数が及ぼす調節効果(moderatign effect)がunit-specificであると仮定できる場合には、片方の独立変数については個人レベルの平均値をとって交互作用を作成し、固定効果推定を行うという方法もある。